有効求人倍率(9月)が1年5カ月ぶりに上昇したことが発表された30日、ハローワーク甲府は、多くの求職者が来場するなど、雇用情勢が好転したことはうかがえない状況だった。 同ハローワークは10月に入って、架空求人を出して求職者から仕事に必要な保証金と偽って現金を詐取したり、失業者向けの融資や失業保険をだまし取る二つの事件の舞台になったことが判明。特に架空求人事件は、利用者の衝撃が大きく「国の機関なので、どこか信頼するところがあった。これからは自分の身は、自分で守らないと危ない」(甲府市の女性、25歳)など、チェック体制が不十分な現状から自衛するしかないという意見も聞かれた。 「どうしても就職したい。雇用主側から保証金を払えと言われたら払ってしまう人もいるかもしれない」。昭和町の男性(59)は厳しい雇用状況を踏まえ、今後も同様の事件が起きる可能性があると心配する。 山梨労働局によると、事業所がハローワークで求人する際、新規企業は事業所名や資本金、事業内容、労働時間、賃金などを2枚の登録カードに書き込む。すべての記載内容の真偽を確認するのは「時間的にも不可能」(同労働局)といい、住所が存在しないなど、明らかに問題があった場合だけ実地調査をしている。 県内で求人広告を出している甲府市内の企業は「原則として担当が会社や店舗を訪れ、広告の打ち合わせをするので架空の会社からの求人を出すことはない。苦情が寄せられるなど、悪質な場合は掲載を断るなどの対応をしている」としている。 甲府市内の社会保険労務士は、「求職者は国の機関というだけでハローワークを信用してしまう。ハローワークを使った詐欺はまれではあるが、昨今の雇用情勢の中では十分にあり得る。現地に行って視察するなどの対応はするべきだ」と指摘している。
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