詐欺女「私は貯金しない」隠し財産ある可能性も

　埼玉県警に詐欺容疑などで逮捕された無職女（３４）＝東京都豊島区＝の知人男性が相次いで不審死している事件で、女が「私は貯金しない」などと供述していることが１日、分かった。女には複数の男性から計約１億円が渡っているが、預金口座の残高はゼロだった。同県警など捜査当局は“隠し財産”を持っている可能性もあるとみて調べを進めている。

　女は結婚詐欺の容疑を認め、１日までの調べに「私は貯金をしない。お金があれば全部使ってしまった」と供述した。ＴＢＳが報じた。

　女は長野県の５０代男性から約１９０万円、静岡県の４０代男性から１３０万円をだまし取ったとして、９月下旬に埼玉県警に逮捕され、１０月２１日に詐欺罪で起訴された。また、女の知人で０７年に自宅で突然死した松戸市の福山定男さん＝当時（７０）＝から約７０００万円、今年２月に遺体で見つかった交際相手の東京都青梅市の会社員寺田隆夫さん＝当時（５３）、死因は一酸化炭素中毒＝から約１７００万円を受け取っていたことが分かっている。

　５月に自宅の火災で死亡した千葉県野田市の安藤建三さん＝当時（８０）＝、８月に死亡しているのが見つかった東京都千代田区の会社員大出嘉之さん＝当時（４１）＝ら計６人から受け取った金は約１億円に上るとみられるが、女が逮捕された際、銀行の口座残高はほとんどなかった。

　女は自身のブログで、高級レストランやカフェでの食事や、購入したばかりの高級外車ベンツの写真を掲載し、受講料が３カ月で７０万円前後のコースという、セレブに人気の料理専門学校に通うなどしていた。

　逮捕される約１カ月前の８月頃には、板橋区にある家賃約１３万円のマンションから、豊島区の池袋駅前の家賃約２１万円のマンションに引っ越すなど、ぜいたくぶりは過熱していったようだ。

　女はこれまで「金に困り生活を維持するためだった」などと供述しているが、数年の間で１億円も使ったとは考えづらいと指摘する声もあり、捜査当局では預金口座以外にも“隠し財産”がないかも調べている。

　また、女は大出さんらと知り合った結婚相手を探すインターネットサイトを通じ、これまでに２０人以上と接触。調べに対し「詐欺が毎日の仕事みたいになっていた」とも話しており、捜査当局ではほかにも余罪があるとみている。

[ 2009年11月02日 ]