社会
源平合戦「逆落とし」に新説 義経、実は不参加?
源義経率いる騎馬軍が急坂を駆け降り、平氏の背後から攻め込んだとされる一ノ谷合戦の「逆(坂)落とし」。奇襲の場所が一ノ谷(神戸市須磨区)か鵯越(ひよどりごえ)(同市兵庫区)かで長く論争が続いているが、近年「義経は逆落としに加わっていなかった」とする「不参加説」が現れ、学界で主流となりつつある。論争を根底から覆す新説の登場に、地元からは「義経が参加しない逆落としなんて絵にならない」との声も聞かれる。(小川 晶)
戦術の奇抜さから“戦略家”義経の象徴とされる一ノ谷合戦の逆落とし。「一ノ谷説」と「鵯越説」があり、歴史愛好家らが公開討論会を開くなど論争を続けている。
2説があるのは、軍記物「平家物語」で逆落としの起点が「一谷のうしろ鵯越」と表現され、どちらから攻め込んだかはっきりしないため。一方で、奇襲をかけたのが義経という点で両説はおおむね一致している。
ところが、滝沢秀明さんが主演した2005年のNHK大河ドラマ「義経」を機に人物像の再考が進み、義経が海沿いの山陽道を西から攻め込んだとする「逆落とし不参加説」が現れた。義経軍が二手に分かれ、配下の多田行綱が別動隊となって逆落としを実行したとする説で、貴族の日記「玉葉(ぎょくよう)」の記述に基づく。
源平合戦史を専攻し、「不参加説」の著作を07年に発表した川合康・日本大教授は「玉葉は、合戦直後の記述で信頼性が高いが、平家物語は、鎌倉時代に成立した作品で脚色も多い」と説明。元木泰雄・京都大教授(中世史)も「平家物語では行綱は悪役。逆落としが義経の功績にすり替えられた可能性がある」と指摘する。
義経の参加を前提に論争を続けてきた地元関係者の反応はさまざまだ。「鵯越説」の立場で著作を執筆中の梅村伸雄・兵庫歴史研究会顧問(76)は「多少の肉付けがある平家物語だが、義経を無理やり“主役”に仕立て上げた、というのは飛躍しすぎ」と反論する。
一方、05年の討論会で梅村顧問と議論を交わした「一ノ谷説」の三浦真厳・須磨寺正覚院住職(78)は「非常におもしろい説」と肯定的に受け止める。「全国的に有名な逆落としだが、神戸がゆかりと知る人は少ない。新説が出て注目が集まるのならば、それはそれでいい」と話している。
(9/8 15:22)
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