臨時国会への姿勢で与党内の足並みの乱れが目立ってきた。民主党の山岡賢次国対委員長は、衆院では代表質問に続いて予算委員会でも質問をしない可能性を示し、社民党が強く反発している。民主党内でも、参院では輿石東参院議員会長が予算委員会で質問する方針を明言した。代表質問に続いて衆参で対応が分かれれば、「活躍の場」を失われた衆院議員に不満が広がりかねない状況だ。【鈴木直、太田誠一】
社民党の重野安正幹事長は29日午前の記者会見で「本会議でも予算委でも質問しないことが定着したら立法府の自殺行為だ。実績として残すべきではない」と強い口調で民主党を批判。「社民党は(質問を)やります。昨日、山岡国対委員長に伝えました」と語った。
民主党が、衆院予算委での質問見送りを検討しているのは、国会日程が11月末までと窮屈なためだ。「予算委で審議する法案はない。今回は他の法案を通すことを優先したい」(山岡氏)ためだ。
だが、同じ民主党でも参院の対応は逆だ。輿石氏は29日午後の記者会見で「質問しますよ」とあっさり述べた。高嶋良充参院幹事長は「再考の府といわれる参院は、政府の良さを引き出す質問で国民の理解が得られる」と立場の違いを強調する。
国会質問はテレビ中継もあり、有権者にアピールする絶好の機会だ。結果として「参院優遇」となることが、衆院側には不満だ。ある中堅議員は「不満に思うことが何度もあり、もう慣れっこだ」と皮肉交じりに語った。
こうした議員心理に対し山岡氏は28日の国会対策委員会で「テレビで華々しく選挙運動したという人がいるかもしれない。だが、選挙で勝たせてもらったのだから、宣伝ではなく責任を果たす番だ」と審議の迅速化を優先するよう求めた。
鳩山由紀夫首相は29日夕、「衆院と参院で差が出ているが、政党内での判断だと理解している」と述べ、党側の判断に任せる考えを示した。
自民党の谷垣禎一総裁は同日の記者会見で「予算委員会にも(質問に)立たないとなると、国会をどう考えているのか。(政府に入らなかった議員は)単なる頭数、物事を決めるための数、との考えがあるなら、民主主義を豊かにするものではない」と批判した。
毎日新聞 2009年10月30日 東京朝刊