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『キッド A』(2000):発売時の反響&レディオヘッドがチャレンジしたこと

『キッド A』に寄せられた英米主要メディアの反響
アメリカ
<ビルボード誌>
『キッド A』は今年最も話題に上がったブリティッシュ・ロックのアルバム。非常にに大胆で、危険を恐れない作品だ・・・我々を催眠にかけたかのように魅了したかと思えば、次は不安に陥れ、そしてまた今度は興奮に酔わせる。(レディオヘッドは)UK出身グループの中で、数少ない本物の国際的影響力をもったギター・バンドの一つである。
<ローリング・ストーン誌>
おそらくこうなるであろうと思われる我々の未来についての、明敏な洞察力に富んだスペース・オペラ
<スピン誌>
『キッド A』を聴くということは、自分自身の心臓に耳を傾けるのと似ている。自分の心臓のひとつひとつの鼓動を密接に感じるのだ。そして、それがいつまでも止まることのないようにと願いたくなる。 レディオヘッドにとって最も恐れを知らぬ勇気に満ちたアルバムであるだけでなく、彼等のベスト作品でもある。攻撃的なまでに放縦で、洗練されていて、アートに満ちている。知性に訴えかけ、脳裏に焼き付いては繰り返し浮かんでくる。怒涛のようにこちらを押し流し、獰猛なまでの激烈。これはグレイトかって?もちろん。
イギリス
<NME誌>
『キッド A』は啓示である。
<メロディー・メイカー誌>
レディオヘッドには歌がある。今やそれを持たないのは、その他全ての者達なのだ。
<MOJO誌>
最も偉大なるアルバムというものは、初めて聴いた時には必ずしも、その神秘の全てを明かしたりしないものだ。『キッド A』は見事である。聴く者の好奇心を煽り、常軌を逸しているような、明らかな発達を遂げた作品だ。レディオヘッドは最も想像力に満ち、最もパワフルな現存のバンドである。
<セレクト誌>
生命力あるクリエイティヴな影響力として、ブリティッシュ・ロックを救う作品。
<タイム・アウト誌>
魂のまさに髄まで染み入ってくる。
<ニューズウィーク・マガジン>
『キッド A』には解読すべき暗号はない。深遠なる神秘もない。聴き手が「こうであって欲しい」と望むものになら、何にでも成り得るのだ。スタジオの守護神が生んだ、私心を超越した傑作である。
<デイリー・テレグラフ誌>
茫然自失するほど美しく、あちこちに奇想天外さを覗かせ、聴く者の心を完全に奪う。このようなアルバムは今までに一枚もなかった。トム・ヨークの声がポップ界において最も美しい表現力に富んだものの一つであることは変わらない。
<デイリー・メール誌>
(レディオヘッドは)ビートルズやR.E.M.、ピンク・フロイドの様な巨匠達の辿った道程を歩んでいる。
<メール・オン・サンデー誌>
今、"レデイオヘッド的なサウンド“を用いているバンドは幾つもあるが、レディオヘッド自身は既にそこから脱却しているのだ。
<アンカット誌>
『キッド A』は聴き手を、ヘッドフォンの内部にある羊水の中で、胎児のように丸くなって、自分に浸りきりたい気持ちにさせるタイプの作品だ。それは単に、愛すべき一音一音をひとつも聞き漏らさないためだけでなく、聴くことによってもがき、浸り、溺れるための作品だからである。『キッド A』は、他のブリット・ロックの一群全ての視野の狭さと、作品の次元の低さに対する痛烈な非難であり、彼等が手本とすべき輝かしい実例である。
レコーディング日誌公開、ノー・シングル、ノー・ビデオ、アルバム発売前のツアー、プレスウェブサイト開設…レディオヘッドがチャレンジしたこと

今回『キッド A』のリリースに際してレディオヘッドは従来のプロモーション展開とは大きく異なることをいくつも導入した。中にはコマーシャル戦略と反する行動も見られ、バンド側が本当にセールス中心に考えるのではなく、「自分達がどういう風に展開していきたいのか」という自分達の意志を中心にして、アイディアを能動的に出していったことが伺える。

オフィシャル・ウェブサイト上でのレコーディング日誌の展開
自分達のウェブサイト www.radiohead.com 上にとにかくこまめにレコーディング中の模様をアップデイトしていった。ここまでバンドが直にレコーディング中の情報を露出するのは稀。そのダイアリーを記したエド・オブライエンは「直接当事者からきくのが一番確かだからね」とコメント。
アルバム発売前にツアーを展開する
アルバム発売後にツアーを展開して、アルバムのセールスにつなげるというのが通例。ところが、今回レディオヘッドは意図的にアルバム・リリース前にツアーを展開した。シングル発売+プロモ→アルバム発売+プロモ→ツアーという売るための方程式のような通常サイクルで、お決まりの会場で演奏する、というのではなく、自分達自身が楽しんでツアーをやりたい、ということで、長いアルバム・レコーディング期間明けに、今まで演奏したことのないような会場を選んで、ツアーを行うことになった。ツアーは2度に亘って展開された。1度目は6月13日から7月9日にかけて7カ国18公演。小規模な会場(野外の遺跡など異例のロケーションも含まれる)を選び、2年以上ぶりのライヴとあってメディア、ファンからの注目は異様に高かった。2度目は9月1日から10月20日にかけてUK、デンマーク、ベルギー、オランダ、フランス、アイルランド、アメリカ、カナダ計8カ国24公演。これは自分達で1万人以上収容できる巨大テントを持って廻るテント・ツアー。スポンサーをつけたツアーではなく、純粋に観客達と自分達で成り立つツアーが出来ないか、ということから、自分達でテントを持って廻ることにより、それを実現したという。彼等にとって自分達自身もツアーを心から楽しむということが今回一番大事だったのだ。そして結局、多くのバンド達が疑問も抱かず陥ってしまう、<バンドが一定の時期にツアーを“しなくてはいけない">ということはなかったのだと思ったそう。これらのツアーを楽しんだことによってバンドは将来ツアーすることについてもまた楽しみに出来るようになったそうだ。
コマーシャル・シングルをリリースしない
最も大きな理由はアルバム全体を一つの作品として聴いて欲しい、一部分を文脈から抜き出して聴くと偏った感じになってしまう・・・という意図だった。さらに抜き出して聴くのだとしても、それぞれのラジオ局、或いはリスナーが好きな曲をピックアップして欲しい、こちらからある一定の曲を押し付けるのではなく、という意図が今回はあったようだ。実際世界の国でシングルをリリースする国は限られており、コマーシャル・シングルをリリースするとなると、そのフォーマットを何種類も作ったり、ビデオを作ったりとなる。このような通常のシステム=アルバムをプロモーションする上でシングル・リリースのサイクルが必要、というこれまた多くのバンドが疑問も抱かずに従っているサイクルを抜け出したいという意図もあったようだ。
プロモーション・ビデオを作成しない
コマーシャル・シングルをリリースしないと決めた時点で、実際プロモーション・ビデオを作成するということに必然性を見出さなかった。もし作るとなると時間、費用がかかるのはもちろん、ある特定の曲を突出してピックアップしたくないという意図とも反してしまうからだ。プロモーション・ビデオよりももう少し自由な発想でクリエィティヴなものを作りたいということで、数十種類のBLIPSと呼ばれるコンピューター・グラフィックスによる数秒から数十秒の長さの映像が使われた。このBLIPS、音はニューアルバムの音が使われ、画像にはメンバーではなく熊のモチーフが多用されている。米のMTVなどはこのBLIPSをかなり頻繁にオンエアーしていた。数カ国では、このBLIPSを視聴者が組み合わせてオリジナルPVを作るというコンテストも実施されたという。さらにプロモーション・ビデオのかわりに、7月1日に行われたロンドン/ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライヴ映像(「ナショナル・アンセム」1曲),9月24日・25日に行われたロンドン/ヴィクトリア・パーク:タワーハムレッツでのライヴ映像(「イディオテック」「エヴリシング・イン・イッツ・ライト・プレイス」「ハウ・トゥ・ディサピアー・コンプリートリー」「モーニング・ベル」「イン・リンボー」「オプティミスティック」「ナショナル・アンセム」計7曲),ロンドン/AIR STUDIOで撮影されたライヴ映像(「イディオテック」1曲、画像処理がなされていてPIXILLIATED VERSIONとBLOW UP VERSIONがある)といったライヴ映像がプロモーションに使われた。
プレス・ウェブサイトの開設
この2〜3年、レディオヘッドはインタビューを殆ど全く受けなかったにも関わらず驚くべき量の雑誌露出がなされた。今回世界中からバンドにとてつもない量のインタビュー・リクエストが殺到。その状況下、レディオヘッドは「プレス・ウェブサイト」を開設することに決めた。このプレス・ウェブサイトSPIN WITH A GRINではバンドが世界のジャーナリストからこのサイトに送られた質問に対して答えた答えを見ることが出来ると共に、写真や画像をダウンロードすることも出来る。
シークレット・ブックレット
初回生産分にはCDのトレイ下に12ページのシークレット・ブックレットが隠されていた。シークレット・トラックというのは珍しくないが、シークレット・ブックレットはおそらく全世界初。このシークレット・ブックレットにはアルバム収録曲さらに未収録の曲などの歌詞やその他メッセージともとれる詩やイラストが掲載されている。なお、このシークレット・ブックレットについては告知は一切してはいけないという指示がだされていたため、アルバム・リリース時のプレスリリース、商品自体においての告知は一切されなかった。

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