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電機大手9社軒並み減収、見えぬ先行き 9月中間決算

2009年10月30日23時16分

グラフ:  拡大  

表:  拡大  

 電機大手9社の09年9月中間連結決算はそろって減収となり、純損益も8社が赤字となった。各国の景気刺激策やリストラ効果で、業績悪化に底打ち感は出ているものの、景気の先行きに不透明感は根強い。ウォン安を追い風に業績が大幅改善したライバル、韓国メーカーの背中は遠い。

 電機大手9社の09年9月中間連結売上高は、全社がリーマン・ショック前の前年同期より1〜2割減った。

 それでも、世界的な景気悪化で苦しんだ08年度下期と比べ、業績の改善傾向ははっきりしてきた。これまで「お荷物」だった半導体など電子部品の稼働率は改善。人件費などの削減を前倒しで進めたこともあり、本業のもうけを示す営業損益はパナソニック、東芝、三菱電機、シャープ、三洋電機の5社が黒字だった。4〜6月の黒字は三菱電機だけだった。

 ただ、各社とも景気の先行きは読めない。リストラ効果で、通期の利益見通しを上方修正したパナソニックやソニーも、先行き不透明さを理由に、売上高見通しを据え置く。東芝の村岡富美雄副社長は「いまは一時的に回復しただけで、回復が持続するかは不透明だ。雇用状況、円高など不安要素はきりがない」と話す。

 対照的に、ライバル韓国のサムスン電子とLG電子の業績好調が目立つ。サムスンが30日発表した7〜9月期の連結営業利益は、前年同期比2.9倍の4兆2300億ウォン(約3300億円)で、連結業績を公表している08年1〜3月期以降で、四半期として最大に。LG電子の営業利益も、前年同期の2倍に達している。

 昨秋の金融危機の打撃で昨年末は赤字に転落したが、欧米に加え、成長する中国やインド、中南米など多様な市場への浸透とウォン安を強みに、09年1〜3月期以降のもうけは右肩上がりだ。光源にLED(発光ダイオード)を使い、高画質や省電力を売り物にした液晶テレビをいち早く積極投入して販売を伸ばす。

 ソニーの大根田伸行副社長は30日の決算記者会見で、韓国サムスン電子について「(ソニーが)負けた基本的な理由は商品力。それは認めざるを得ない」と、事実上の「敗北宣言」。パナソニックの大坪文雄社長も、「グローバル展開力で差がある。大きな成長力の差をつけられた」と認める。国内市場が縮小する中で、いかに海外展開を強化していくか。日本勢の浮沈を握るかぎとなりそうだ。(稲田清英=ソウル、高田寛、五十嵐大介)

   ◇

表の注釈:単位・億円。▼はマイナスまたは赤字。かっこ内は、売上高と営業収益が前年同期比の増減率%、営業損益と純損益が前年同期の実績

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