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2009年10月09日(金)

小沢一郎が官僚答弁禁止にこだわる理由

テーマ:政治

大臣が「その件は局長に答弁させます」という国会の委員会風景は、勉強不足の政治家でも大臣になれたこの国の政治風土の象徴だった。


本来、国会は議員どうしが論争する場である。いま、民主党の小沢幹事長が「官僚答弁」を禁止する国会法改正をめざしているのは、国会を正常な姿に変えるためだ。


もし、官僚による大臣の代弁がいっさい禁じられたらどうなるか。政府側の答弁を担う大臣、副大臣、政務官には、政策に通じた政治家しかなれなくなるだろう。


これまでのように、派閥順送りで念願のポストを射止めた年功序列大臣では、答弁がしどろもどろになり、選挙対策上もマイナスになるはずだ。


国民にとっては、ボス政治の勲章だった大臣ポストが、政策通の実力者に明け渡されるのではないかと期待できる意味で、まことに好ましい動きといえる。


だから、社民党の重野幹事長が「役人の答弁を禁止するのは、多様な言論を担保する国会でいかがなものか」と言うのは、どうにも解せないのである。


万が一、自分が閣僚になりたくて、楽な道を残しておきたいのだとしたら、どうしようもない。


昔からこの国の国会審議においては、「政府委員から答弁させます」という大臣のひと言で、局長や審議官ら官僚が多くの答弁を代行してきた。国会の形骸化だという批判が噴出したのは当然である。


そこで政府委員制度の廃止を、小沢一郎率いる自由党が小渕自民党との連立の前提として突きつけ、1999年秋の臨時国会から実施させた。


ところが、政府に都合のいい抜け道があった。政府委員に代わって「政府参考人」という制度が設けられたことだ。この制度が乱用され、「いまやもとの木阿弥だ」とのちに小沢を慨嘆させた。


政府参考人も政府委員も、官僚が国会で答弁するという点においては変わりはない。では、どこが違うのか。


政府委員は、政府側が自由に出席させ、答弁させることができた。一方、政府参考人の場合は、委員会が招致する体裁になっている。


もっと詳しく言うと、政府参考人は、質疑者の要求、または理事の協議、委員会の議決をへて、答弁の機会が与えられることになっている。


野党議員が自らの質問に特定の幹部官僚の答弁を求めたいとき、その官僚が出席するのはごく当たり前のことである。問題は理事の協議で官僚を出席させるケースだ。


委員会の理事は、議席数に応じて、各党に配分される。旧政権における衆院の各委員会では、自民党理事が多数を占め、委員長ポストも自民党が独占した。大臣の意向をくんで代弁官僚を委員会に出席させることなど簡単だっただろう。


大臣自身の答弁を野党議員が求めても、委員長が官僚答弁を許してお茶を濁すことくらい朝飯前だ。トップ官僚ともなれば言質をとられないごまかし答弁で煙に巻く。


小沢幹事長はこの「政府参考人制度」を廃止するとともに、内閣法制局長官、公正取引委員会委員長、人事院総裁ら「政府特別補佐人」を含むすべての官僚の答弁を禁じたいハラなのだ。


かねてから小沢は内閣法制局の硬直化した憲法解釈に批判的だった。


自民党幹事長だった海部政権時代、湾岸戦争の米軍支援に自衛隊を派遣しようとしたが、内閣法制局の違憲解釈に阻まれ、「カネだけ出して人的貢献をしない国だ」と批判の集中砲火を浴びた苦い経験がある。


それはともかく、小沢の腹のうちには、もう一つ隠された狙いがあるのではないか。それは、いまだ長老支配が続く自民党に楔を打ち込んでおくことだ。


いったん、官僚答弁禁止の国会法改正をしておけば、かりに自民党が政権を取り戻しても、官僚答弁を復活させることは難しい。官僚依存政治に逆戻りの印象を世間に与え、選挙に不利に働くからだ。


とすれば、首相や大臣らは自らの頭脳で語れる人物に自ずから限定され、親分子分の関係、カネや義理人情を軸とした自民党的派閥力学が政治の世界で通用しなくなるのではないか。


派閥領袖支配、年功序列型ポスト割り当ての仕組みは崩壊し、自民党は抜本的な組織の再構築を迫られる。


長い間、「官僚丸投げ」のぬるま湯につかってきた自民党が、世代交代を成し遂げ、党内に政策能力を培っていくには、こののち、かなりの年月を必要とするだろう。


今日の朝日新聞に、地味ではあるが、自民党にとっては重要な記事が載っている。「影の内閣」の頓挫である。


谷垣総裁は民主党の「次の内閣」にならって「影の内閣」を設ける考えだったが、党内から民主党の模倣への異論が続出した。結局は、政調会長と部会長による「政権政策会議」なるものを新設し、従来型と実質的にはさほど変わりない仕組みを踏襲することで落ち着いた。


谷垣総裁のリーダーシップは発揮されず、大島理森幹事長が主導しているという。


ここには、いまだ与党時代の残滓が見てとれる。政策の企画立案を官僚に任せ、出てきた法案を族議員が力ずくで通していた自民党政調会の体質を、野党になった今でも抜本的に変えようという意思が感じられない。


「陳情集団」から、「政策集団」へ。自民党は一刻も早く、新しい時代に対応できる政党に脱皮する必要がある。


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