[CML 001874] Re: 【佐賀】 罪位20年 「誰が祝うか」 抗議集会

higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2009年 10月 31日 (土) 17:47:56 JST


田口さんのコメントに対する少し遅いレスポンスです。

田口さん wrote:
> 各地で「奉祝委員会」の立ち上げがおこなわれ、また、共産党も含めて圧倒的多数が賛成する形
> で、地方議会での「賀詞」採択の動きが強まっています。このままでよいのでしょうか。

この件について、田口さんご紹介の「天皇陛下御即位二十年奉祝委員会」HPに次のようにあります。
http://www.houshuku.org/kakukai/gikai.html

……………………………………………
大阪府堺市議会(平成21年9月11日)

  「天皇陛下御即位二十年を祝す賀詞」の決議

 天皇陛下におかせられましては、めでたく御即位二十年をお迎えになられましたことは、
市民のひとしく慶賀にたえないところであります。

 ここに堺市議会は、市民を代表して謹んで慶祝の誠を表します。

 以上、決議する。

※議員51名中、自民党11名、公明党13名、民主党9名、社民党1名、無所属7名、共産党8名が
賛成、革新系の無所属議員2名のみ反対
……………………………………………

共産党は2004年の第23回党大会で同党綱領を43年ぶりに全面改訂し、「日本は君主制では
ない」とする当時の不破哲三中央委員会議長の新命題(注1)のもとそれまで「ブルジョア君主制
の一種」などと規定していた天皇制規定(注2)を新綱領から削除しました。

注1:「日本共産党綱領改定案についての提案報告 中央委員会議長 不破 哲三」(赤旗 2003
年6月28日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-06-28/00_01.html)

注2:23回党大会までの同党綱領には、天皇制について、「天皇制の廃止」「天皇制は絶対主義
的な性格を失ったが、ブルジョア君主制の一種として温存され、アメリカ帝国主義と日本独占資
本の政治的思想的支配と軍国主義復活の道具とされた」などの規定がありました。

この天皇制規定の削除について、不破議長(当時)は、「七中総報告(注:前記注1)では、日本
の憲法のこの特質を、『いろいろな歴史的な事情から、天皇制が形を変えて存続したが、そのも
とで、国民主権の原則を日本独特の形で政治制度に具体化した』と記述しました」「この特殊性
を事実に沿ってリアルにとらえることが重要であります」(注3)とも述べていましたが、「象徴天皇
制」というわが国の憲法上の制度を「事実に沿ってリアルにとらえ」た結果として「天皇陛下御即
位二十年を祝す賀詞」決議(大阪府堺市議会)に同党市議会議員8名全員が賛成したということ
なのか? 

注3:「綱領改定についての報告 中央委員会議長 不破哲三」(赤旗 2004年1月15日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-01-15/00_03.html

そうであれば、共産党のいうこの場合の「リアル」とは、「天皇制翼賛思想」擁護の謂いとなるほ
かありません。共産党は、「日本は君主制ではない」とする当時の不破議長が提起した命題の
帰結するところの思想的陥穽、その危険性にいますぐにでも気づくべきだろう、と私は思います。

不破氏が当時、七中総報告(前記注1)で述べた「日本は君主制ではない」とする立論は次の
ようなものでした。

「国家制度というものは、主権がどこにあるかということが、基本的な性格づけの基準でありま
す。その点からいえば、主権在民の原則を明確にしている日本は、国家制度としては、君主制
の国には属しません。せまい意味での天皇の性格づけとしても、天皇が君主だとはいえないわ
けであります」「憲法は、天皇は、国の統治権にはかかわらないことを、厳格に定めているので
す。だいたい、国政に関する権能をもたない君主というものは、世界に存在しません。ですから、
日本の天皇の地位は、立憲君主制という国ぐににおける君主の地位と、その根本の点で違い
があるのです。立憲君主制というのは、形の上では国王が統治権を多かれ少なかれもってい
て、それを、憲法やそれに準じる法律で制限し、事実上国民主権の枠のなかにはめこんでいる、
という国家制度です」「日本の場合には、天皇には、統治権にかかわる権限、『国政に関する
権能』をもたないことが、憲法に明記されています。ここには、いろいろな歴史的な事情から、
天皇制が形を変えて存続したが、そのもとで、国民主権の原則を日本独特の形で政治制度に
具体化した日本の憲法の特質があります」

不破氏の上記立論の誤り、あるいは恣意的論法は次の点に見ることができます。

第1。不破氏は上記七中総報告で「この憲法には天皇条項があり、天皇制が形を変えて残さ
れ」ていることは認めながら、天皇は「国政に関する権能をもたない」から「君主」とはいえない、
と立論します。しかし、不破氏のこの立論は誤りというべきです。

たしかに憲法第1章第4条には「天皇は、国政に関する権能を有しない」という規定はあります
が、憲法はそもそも「国家の統治権・統治作用に関する根本原則を定める基礎法。国の最高
法規」(Yahoo!辞書「大辞泉」)です。その国家の統治権・統治作用に関する根本原則を定める
国の最高法規である憲法の第1章(第1条〜第8条)のすべては天皇条項です。それを憲法
第4条のみを根拠にして天皇は「国政に関する権能をもたない」とするのは憲法構成の総体
を無視したあまりにも恣意的にすぎる論といわなければならないでしょう。憲法第1章総体が
象徴的ではあるが天皇の「統治権・統治作用に関する根本原則」を定めた章立てと見るべき
ものでしょう。

第2。憲法第7条にはこれも象徴的ではありますが「国会召集」「衆議院解散」などの天皇の
国事行為が定められています。これも広義の意味で天皇の「統治権・統治作用に関する」規
定と見るべきものでしょう。

第3。「君主制」は単純に「共和制」と区別される概念にすぎません。高度な民主主義国家で
あっても「立憲君主制」を政体にする国々は数多くあります。日本の「象徴天皇制」を「立憲
君主制と言っても差し支えないであろう」というのは日本国政府の公式見解でもあります(19
73年6月28日参議院内閣委員会、政府委員吉國一郎内閣法制局長官答弁)。「天皇は『国
政に関する権能をもたない』から『君主』とはいえない」というのは不破氏の恣意的な日本国
憲法解釈にすぎないように思います。

第4。日本国内外にて天皇は国家元首として遇されているのは周知のとおりです。憲法もそ
の第1条で天皇を「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」(1条)として、元首またはそ
れに準じた地位に置いています。また、CIA各国要覧の日本の項でも天皇を「chief of state:
Emperor AKIHITO (since 7 January 1989)」と明記しているようです(Wiki:『日本』)。

第5。「象徴天皇制に『いろいろな歴史的事情』からなお重要な政治的・社会的機能があり、
現に中国・韓国など近隣諸国との関係で『お言葉』が実際に外交的意味を持」っている(加
藤哲郎一橋大教授)ことは社会的、政治的常識ともいえるものです。
http://homepage3.nifty.com/katote/JCP03pro.html

もう一度田口さんのコメントを繰り返します。

「各地で『奉祝委員会』の立ち上げがおこなわれ、また、共産党も含めて圧倒的多数が賛
成する形で、地方議会での『賀詞』採択の動きが強まっています。このままでよいのでしょ
うか」

このままでよいはずがありません。共産党にはこの件について深く大再考していただきた
いものです。



東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp

----- Original Message ----- 
From: "田口" <hantenno at m10.alpha-net.ne.jp>
To: "CML 投稿" <cml at list.jca.apc.org>
Sent: Thursday, October 29, 2009 12:59 AM
Subject: [CML 001836] 【佐賀】 罪位20年 「誰が祝うか」 抗議集会


> 田口です。
>  来月12日には今の天皇のことがあちこちで祝われるようですが、それに抗して佐賀県佐賀市でも集会を開きます。今回は講演形式ではなく数人で交替して発言します。
>
> 「罪位20年、誰が祝うか! みんなのリレートーク」
> 11月12日(木曜) 午後 1時 〜 3時
> 佐賀駅前 アイスクエアビル 5階 中会議室
> http://freely.vis.ne.jp/5se/2008/seB6/saga_isquare.htm
> 入場無料
> 主催:自由大好き!市民の会
> 電話 080−5271−1871(松永)
>     080−5252−3369(田口)
> 発言予定者
>  味志 陽子 (市民オンブズマン)
>  畑山 敏夫 (佐賀大学教授)
>  藤岡 直人 (僧侶・真宗遺族会)
>  松永 義郎 (予備校講師)
>  ほか
>
>  鳩山首相は「奉祝議連」こと超党派「天皇陛下 御即位20年奉祝 国会議員連盟」(会長 蜃気楼 元首相)に参加している明確な天皇主義者です。新しい内閣のもとで、政府式典を行なうことがあらためて閣議決定されています。各地で「奉祝委員会」の立ち上げがおこなわれ、また、共産党も含めて圧倒的多数が賛成する形で、地方議会での「賀詞」採択の動きが強まっています。このままでよいのでしょうか。
> http://www.houshuku.org/kakukai/gikai.html
>  「リレートーク」などというカタカナ言葉こと植民地根性言葉を私は使いたくはなかったのですが、今の時勢では抗しきれませんでした。
>
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