27日午後8時ごろ、山口県下関市と北九州市の間にある関門海峡で、海上自衛隊第2護衛隊(長崎県・佐世保基地)所属の護衛艦くらま(5200トン)と、韓国籍のコンテナ船カリナ・スター(7400トン)が衝突、くらまは艦首部分が大きく破損し、炎上した。間もなくほぼ鎮火したが、くらまの乗組員3人が軽傷。コンテナ船側にけが人はいなかった。門司海上保安部は業務上過失往来危険容疑を念頭に捜査を進める。
政府は27日夜、首相官邸に情報連絡室を設置。北沢俊美防衛相は記者会見で「極めて遺憾」と陳謝、榛葉賀津也防衛副大臣を現地に派遣した。海上自衛隊は事故調査委員会を設置した。
第7管区海上保安本部(北九州)によると、くらまは衝突後、海峡内を漂流したが、その後自力航行で門司港の岸壁付近へ向かった。
防衛省によると、くらまの艦首とコンテナ船の右舷側の船首付近が衝突したとみられる。コンテナ船は右舷のいかりの下付近に穴があいた。北沢防衛相は会見で、くらまの艦首にあるペンキ缶の倉庫付近が燃えた可能性があるとの見方を示した。
くらまは西へ、コンテナ船は東へ向かっていたとみられる。関門海峡に適用される港則法は、擦れ違う際は設定された航路の右側を航行することを義務付けている。
また海上衝突予防法は、互いに進路を横切る場合、相手を右舷側に見る船が回避動作を取ることなどを規定しており、7管本部は事故当時の位置関係や見張りの状況などについて双方の乗組員から事情を聴く。
くらま乗組員のけがは1人が裂傷、2人が煙を吸って気分が悪いと訴えたが、いずれも程度は軽いという。
関門海峡は幅が狭く、潮の流れが速い海域を多数の船舶が行き交うことから「海の難所」と呼ばれる。防衛省によると、現場は関門橋の真下で、当時は視界3~4キロ。風や波は穏やかだった。