関門海峡で起きた海上自衛隊の護衛艦くらまと、韓国籍コンテナ船の衝突事故で、第7管区海上保安本部(北九州)は28日、同保安本部の「関門海峡海上交通センター」管制官が衝突の数分前、コンテナ船に対し、前方の別の貨物船を左側から追い越すよう誘導していたことを明らかにした。
関門海峡では船は右側航行を定められているが、コンテナ船は管制官の誘導に基づき左方向に進路を変え、くらまと衝突した。同保安本部は「コンテナ船が前方の貨物船に接近していたため」と説明。野俣光孝次長は「管制官の情報提供が事故原因となった可能性がある」との認識を示した。
コンテナ船を運航する南星海運(ソウル市)によると、船長も「前方の船を右側から追い越そうとした際、左側から追い越すよう指示され、従ったところ(護衛艦と)正面から衝突した」と話しているという。
海上交通センターは関門海峡を航行する船の位置関係をレーダーで把握、船からの進路の照会に応じたり、無線で注意喚起したりしている。同保安本部は「指示ではなく、情報提供という位置付け」としている。
同保安本部によると、事故の数分前、コンテナ船が前方を航行中の別の貨物船に接近。同センターが貨物船に注意喚起したところ、貨物船から「左側を追い越してもらいたい」と連絡があったためコンテナ船に伝え、対向してくる護衛艦にも注意するよう求めた。