関門海峡で海上自衛隊の護衛艦くらまと韓国籍コンテナ船が衝突した事故で、コンテナ船は事故直前、前方を航行していた貨物船に約2倍の速度で急接近、貨物船の数百メートル手前で左に大きく旋回していたことが29日、第7管区海上保安本部(北九州)への取材で分かった。
7管はコンテナ船の操船に過失があったとの見方を強め、業務上過失往来危険容疑での立件を視野に、航行の指示内容を捜査している。
7管によると、コンテナ船は貨物船の手前で通常の追い越しよりかなり大きい角度で向きを変え、航路に対しほぼ横向きになるまで旋回、くらまと衝突した。
現場海域は航路幅が約500メートルと関門海峡でも最も狭い場所。7管は関係者の事情聴取を進め、コンテナ船が貨物船に急接近したことや、直前で旋回した経緯の解明を急ぐ。
7管によると、コンテナ船は事故前、12~14ノット(時速22~26キロ)で航行し、6~7ノットで前方を進んでいた貨物船に接近。事故約4分前に関門海峡海上交通センターの管制官が貨物船に注意喚起し、貨物船から「コンテナ船を左側から追い越させる」と連絡があった。
管制官はコンテナ船に左側を追い越すよう誘導。コンテナ船は貨物船の手前で左に大きく旋回し、数十秒後に対向してきたくらまとぶつかった。
7管によると、くらまと衝突していなければ、コンテナ船は対岸に座礁する恐れもあった。