女は睡眠薬に精通、焼け跡練炭は女購入と同タイプ
埼玉県警に詐欺容疑などで逮捕された無職女(34)=東京都豊島区=の知人男性が相次いで不審死した事件で30日、女が医師に不眠症を訴え、睡眠導入剤「レンドルミン」など数種類の具体名を告げて処方を受けていたことが分かった。5月に自宅の火事で焼死した千葉県野田市の男性方の焼け跡から見つかった練炭が、女が購入したものと同タイプであることも判明。埼玉、千葉両県警が捜査を進めている。
女が8月ごろまで住んでいた東京都板橋区にある医療機関によると、女は06年から昨年にかけ、せきなどの症状を訴えて受診。今年1月になると「精神科に通って薬をもらっているが、遠いのでここで処方してほしい」と通院を始めた。その際に睡眠導入剤のレンドルミンやハルシオンの名を挙げたという。
医師は、女が睡眠導入剤の名前に詳しいことに違和感を持ったが、女が「これまでもずっと使ってきた」などと説明したことから薬を処方した。
女は月に1回のペースで7回ほど通院。毎回1、2週間分の睡眠導入剤を受け取っていた。医療機関は、女が「おかげさまで眠れるようになりました」と話したため、後半の数回はハルシオンだけを処方した。
交際していた会社員大出嘉之さん=当時(41)=が死亡したのは8月。遺体からは睡眠導入剤が検出され、この成分は女が処方された睡眠導入剤の成分と一致。女はこのころにも薬の処方を受けていたという。
埼玉、千葉両県警は処方された睡眠導入剤が不審死した男性らに使用された可能性があるとみて、カルテなどを詳しく分析している。
また、女はヘルパーと称して野田市の安藤建三さん=当時(80)=方に頻繁に出入り。火事があった5月15日も午前中に訪れていたとみられる。出火は同日午後1時ごろで、焼け跡からしちりんに入った練炭が発見された。安藤さんの死因は司法解剖の結果、火災による焼死だった。
県警は、大出さんの遺体が見つかった車内に残された練炭と同じ種類とみている。女は今年に入り練炭としちりんをインターネットで数セット購入しているが、購入した練炭と大出さんの車内にあった練炭が同タイプであることが分かっている。両県警は2人の不審死に関連があるとみて裏付け捜査を進めている。
2月に遺体で見つかった東京都青梅市の会社員寺田隆夫さん=当時(53)=の自宅にも、練炭を入れた6つの容器が置かれており、警視庁が慎重に調べを進めている。
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