フィンケ監督来季続投へ…主力大量流出も?
浦和の橋本光夫社長(60)が30日、フォルカー・フィンケ監督(61)を来季続投させる方針を固めたことを明かした。成績不振を受けて進退問題が浮上していたが、当初の基本路線通りに続投要請を行うことを決断。11月初旬から細部の契約交渉に入る見通しとなった。育成重視の指揮官に対して不満を抱える選手も多く、オフには主力が大量流出する可能性も出てきた。
悩んだ末の決断は続投だった。橋本社長はこの日、さいたま市内で行われたイベントに出席後「すっきりした顔をしてるやろ?これから契約内容を詰めるが、続投を前提に話をしている。残りの(リーグ戦)4試合は見ない」とフィンケ監督を来季続投させる方針を固めたことを明言。11月初旬にも正式に続投を要請する見通しとなった。
橋本社長は4月の就任時からフィンケ監督の来季続投が基本線であることを強調。今夏にリーグ7連敗を喫しても方針は曲げなかった。だが、11日の天皇杯2回戦で3カテゴリー下の松本山雅FCに敗れると「方向性が本当に正しいのか、もう一度考える必要がある」と一転。その後も低調な試合が続き進退問題が浮上したが、最後は当初の考えを貫いた形だ。
フィンケ監督の続投が決まれば、厳しい“冬”を迎えることは必至だ。育成重視で結果を度外視する指揮官の方針に対して主力の多くが不満を示しており、現時点で来季契約を更新した選手は山田暢しかいない。クラブ幹部が「大変なオフになる」と危機感を募らせるように、闘莉王、阿部、坪井、平川ら今季限りで契約満了の選手が大量に流出する可能性もある。
続投の判断は監督交代を繰り返した昨季までの反省を踏まえたもので、続投、監督交代、いずれの選択でも批判を浴びることは確実だった。それでも橋本社長自身が「何がベストかは分からない」と話したように、リーグ8位に低迷するなど、無冠が確実な状況では「消極的続投」と言わざるを得ない。選手からの反発などで、最後に方向転換する可能性もわずかに残されているが、フィンケ監督続投が正式決定すれば、巨大戦力を誇ってきたレッズが大きな転機を迎えることになりそうだ。