立ち読みで新鮮な出会い
10月1日(木) 定例役員会を終えて、文藝春秋へ。資料室で新聞、週刊誌の探し物。紀尾井茶房で読書。市ケ谷まで歩く。日本テレビ近くの街並みが変わっていたことにいささか驚く。酒屋が弁当屋になり、よく通っていた喫茶店には「休業中」の看板がかかっていた。人も変われば街も変わる。有楽町に出て三省堂。ノーベル物理学賞を獲得した益川敏英さんの『益川流「のりしろ」思考』(扶桑社)を立ち読み。感電するようにある1行が眼に飛び込んできた。即決購入。こうした出会いがあるから書店を歩くのは面白い。さらに立ち読みは篠原常一郎さんの『いますぐ読みたい 日本共産党の謎』(徳間書店)。表紙を見て監修者の筆坂秀世さんの名前の方が筆者より大きいことに元編集者として強い違和感を感じる。パラパラと眼を通していると「宮本顕治の逆鱗に触れ除籍された有田芳生さん」というタイトルが眼に入ってきた。小さな事実誤認はあるが、ほとんど正しい経過が書いてある。アメリカにいる長女に送るために文庫本を購入。近くの「今半」でティグレ会長の高橋正人さん、Nさん、Wさんに慰労会をしていただく。
「いますぐ読みたい日本共産党の謎」の著者篠原常一郎氏によればこの書を書いた理由は「共産党には真に強くなってもらいたい。国民、特に不幸な運命で生活に苦労されている方々の本当の味方になってほしい-。」からだそうである(P230)。それは自由だが本書の中で繰り返される批判は「もう共産党なんか終わりだ」というのが本音だと思わせるのに十分だ。そして私もそう思う。
私はもはや共産党は「現実的内部崩壊過程」に突入したと思っている。その理由は度し難い「官僚主義」が極限まで達したからである(その多くの事例が同書には記載されている)。社会主義体制崩壊から20年、その現実を直視することなく、また多くの有能な党員を様々な理由で追い出して来た付けがついに回ってきたのである。民主党が政権を取り社民党、国民新党と連立政権を樹立した今、もはや共産党が日本の政治に現実的な影響を与えることが出来るなどと思っている専従職員はいないのではないか。その多くは虚無感と徒労感に捕らわれているのではないか。
では何故共産党で崩壊現象が表立って起きないか?それは専従職員は党から給与をもらう生活者であり妻子もいればローンもかかえていて一般社会に転職のきかない専従職員はひたすら党に忠実を装って生活を維持するしかないからである。専従職員の正直な気持ちは「出来れば早くこの沈み行く舟から逃れたい・・・」ということだろう。
今回の総選挙で私が共産党に感じたことはその候補者たちの魅力と気概のなさである。元々自らは議員になる意思はなく党から言われて立候補した人たちであるから仕方ないかもしれないがあのような人しか候補者としていない共産党は国民の支持など受けられるはずもなかろう(小選挙区制は小政党に不利というのは事実だと思うがだからこそ魅力的で気概ある候補者を擁立しなければならないだろう)。ほとんどの候補者が党役員(つまり専従職員)で学生時代に党員になってそのまま専従職員となり一般社会など知らない人たちばかり。そのような世間知らずの人たちが「政治を変えよう」などと言っても現実味はない。
今後共産党内でどのような変化が起きるのか?起きても強烈な情報統制で外部にはもれないのかもしれない。いずれにせよ専従職員に強いストレスがかかり異常な精神状態に陥って不測の事態に至るようなことがないことを祈るばかりである。
投稿 足軽 | 2009/10/05 01:54