週刊・上杉隆

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鳩山政権をあと少しは見守ろう。
総選挙で民主党を支持した身として

来年度予算の編成で
霞が関の大掃除はできるのか

〈この新たな体制の下、まず行うべきことは「戦後行政の大掃除」です。特に二つの面で、大きな変革を断行しなければなりません。

 ひとつめは「組織や事業の大掃除」です。私が主宰する行政刷新会議は、政府のすべての予算や事務・事業、さらには規制のあり方を見直していきます。税金の無駄遣いを徹底して排除するとともに、行政内部の密約や省庁間の覚書も世の中に明らかにしてまいります。すでに、本年度補正予算を見直した結果、約三兆円にも相当する不要不急の事業を停止させることができました。この三兆円は、国民の皆さまからお預かりした大事な予算として、国民の皆さまの生活を支援し、景気回復に役立つ使い途へと振り向けさせていただきます〉

 まずは、肩慣らしといった感じで、鳩山首相は、本年度補正予算の執行停止を誇った。確かに、これは当コラムでも指摘していたように改革の最初の一歩だとも言える。だから、3兆円という金額の過多は別として、一応合格点だといえはしまいか。

 しかし、本当の問題は「本番」にあたる来年度予算の編成作業にある。

〈もうひとつの「大掃除」は、税金の使い途と予算の編成のあり方を徹底的に見直すことです。国民の利益の視点、さらには地球全体の利益の視点に立って、縦割り行政の垣根を排し、戦略的に税財政の骨格や経済運営の基本方針を立案していかなければなりません。私たちは、国民に見えるかたちで複数年度を視野に入れたトップダウン型の予算編成を行うとともに、個々の予算事業がどのような政策目標を掲げ、またそれがどのように達成されたのかが、納税者に十分に説明できるように事業を執行するよう、予算編成と執行のあり方を大きく改めてまいります〉

 こう語った鳩山首相は、具体的な事業仕分けの対象として、ダム、道路、空港、港湾などの大規模公共事業の見直しに触れた。繰り返し語る「コンクリートから人へ」がそこに通呈する理念だ。

 しかし、そうした大改革を断行するには、強い政治力と大胆な決断が不可欠だ。鳩山首相は記者会見のオープン化について、内閣官房に丸投げしている。

 果たして、その程度の公約を守れない内閣に、強大な霞が関の大掃除などができるのだろうか。

 ハネムーン終了まであと60日。総選挙で支持をしたジャーナリストとして、もう少しだけ待ってみようと思う。

 

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著者プロフィール

上杉隆
(ジャーナリスト)

1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。「宰相不在 崩壊する政治とメディアを読み解く」「世襲議員のからくり」「ジャーナリズム崩壊」「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」など著書多数。最新刊は「民主党政権は日本をどう変えるのか」(飛鳥新社)。

この連載について

永田町を震撼させる気鋭の政治ジャーナリスト・上杉隆が政界に鋭く斬りこむ週刊コラム。週刊誌よりもホットで早いスクープ情報は、目が離せない。

宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く

「お腹の調子が悪い」と政権を投げ出した安倍首相。「あなたとは違うんです」と逆ギレして職を辞した福田首相。そして漢字と空気が読めず政権崩壊寸前の麻生首相。この国の政治の混迷とメディアの体たらくを上杉隆が斬る。1500円(税込)

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