週刊・上杉隆

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鳩山政権をあと少しは見守ろう。
総選挙で民主党を支持した身として

 先の総選挙で、最終的に筆者は民主党を支持して、実際に投票行動に反映させた。日本ではジャーナリストが支持政党を示すのはよくないという議論もあるが、各党の公約を仔細に検証した結果の支持であり、それはまったく問題ないと考える。現に海外の多くの新聞では、事前に支持政党を明示した上で記事を書いている。本当は偏向しているのに公正中立を装っている日本のメディアよりもずっと健全だと思う。

 話は逸れたが、いずれにしろ、次の2つの公約があったからこそ筆者は鳩山民主党を支持した。

・予算の総組み替えによる行政の無駄遣いの排除。
・記者会見のオープン化による情報公開制度の見直し。

 これはともに、民主党の掲げる「官僚政治の打破」につながる一丁目一番地の改革であり、だからこそ、筆者は一票を投じたのだ。

 にもかかわらず、鳩山官邸は、記者会見のオープン化については、政権発足の日に反故にした。この公約違反が重いのは、これから行うことではなく、これまでやってきたことを中止したからであり、情報公開の精神とまったく逆行するからだ。よって、鳩山首相の次の演説も鼻白むものとなった。

〈情報面におきましても、行政情報の公開・提供を積極的に進め、国民と情報を共有するとともに、国民からの政策提案を募り、国民の参加によるオープンな政策決定を推進します〉

〈かつて、多くの政治家は、「政治は弱者のためにある」と断言してまいりました。大きな政府とか小さな政府とか申し上げるその前に、政治には弱い立場の人々、少数の人々の視点が尊重されなければならない。そのことだけは、私の友愛政治の原点として、ここに宣言させていただきます。今回の選挙の結果は、このような「もっとも大切なこと」をおろそかにし続けてきた政治と行政に対する痛烈な批判であり、私どもはその声に謙虚に耳を傾け、真摯に取り組まなければならないと、決意を新たにしております〉

 さて、もうひとつの注目した「予算の総組み換え」については、鳩山首相はどのように言及しているのだろうか。

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著者プロフィール

上杉隆
(ジャーナリスト)

1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。「宰相不在 崩壊する政治とメディアを読み解く」「世襲議員のからくり」「ジャーナリズム崩壊」「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」など著書多数。最新刊は「民主党政権は日本をどう変えるのか」(飛鳥新社)。

この連載について

永田町を震撼させる気鋭の政治ジャーナリスト・上杉隆が政界に鋭く斬りこむ週刊コラム。週刊誌よりもホットで早いスクープ情報は、目が離せない。

宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く

「お腹の調子が悪い」と政権を投げ出した安倍首相。「あなたとは違うんです」と逆ギレして職を辞した福田首相。そして漢字と空気が読めず政権崩壊寸前の麻生首相。この国の政治の混迷とメディアの体たらくを上杉隆が斬る。1500円(税込)

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