[普天間移設]鳩山政権内に温度差、改めて浮き彫りに

　米軍普天間飛行場（沖縄県宜野湾市）の移設計画を巡り２９日、衆参の代表質問で、鳩山政権内に温度差があることが改めて浮き彫りになった。岡田克也外相は代替案として、米軍嘉手納基地統合案を検証中と表明。福島瑞穂消費者・少子化担当相（社民党党首）は県外移設の意向を改めて示した。鳩山由紀夫首相は「最終的には私が決断する」と繰り返すが、衆院予算委員会の審議を控え、政府・与党内には「閣内不一致」を懸念する声も上がっている。

　岡田外相は参院本会議の代表質問で、「現行案より沖縄の負担を軽くするものがないかを真剣に検討している。米軍嘉手納基地への統合が一つの案として浮かび、検証作業をしている」と答弁した。福島担当相は「沖縄県民の負担軽減につながらないような形で見直すのは、３党連立の政策合意に沿わない」と述べ、改めて県外・国外移設を求めた。

　「政治主導」を掲げる鳩山政権では、各閣僚の積極的な発言が目立つ。省庁側が用意した原稿を読み上げる閣僚が多かった自民党政権との違いは鮮明だ。ただ、各閣僚が持論を展開する現状には、「国の大事な外交方針について関係閣僚の調整を行っていないのではないか」（自民党の林芳正参院政審会長）との批判が強まっている。

　社民党の重野安正幹事長は２９日の記者会見で、普天間移設を巡る閣内の温度差について「三者三様の発言をしている姿は、与党の一員としてはなはだ遺憾だ」と苦言を呈した。重野氏は同日の代表質問で、「民主党はこれまで県外、国外（移設）と言ってきた。３党合意でも、見直しの方向を確認している。最大限努力すべきだ」と迫った。

　鳩山首相は林氏への答弁で、普天間移設について「（返還決定後）１３年間、動いておらず、外相と防衛相が中心となって真剣な検証を行っている。最終的には私が決断するので、心配無用だ」と強調した。自民党の谷垣禎一総裁は２９日の記者会見で「代表質問では明確な答弁がなく、予算委で政府の統一見解を出してもらう」と述べた。【坂口裕彦】