年金法案でも採決強行 終盤国会、強まる対決色
松岡利勝(まつおか・としかつ)前農水相(62)の自殺で、国会の緊迫化したムードが高まるなか、自民党総裁の安倍晋三(あべ・しんぞう)首相(52)と民主党代表の小沢一郎(おざわ・いちろう)氏(65)が30日午後の党首討論で直接対決した。安倍首相が松岡氏の密葬に出席する意向を示したため、党首討論は見送られるかと思われたが、与野党の駆け引きの結果、開催が決まった。自民、公明の与党はこの日、衆院厚生労働委員会で、年金時効撤廃特例法案の採決を強行し、可決した。与党はきょう31日の衆院本会議で、社会保険庁を解体して日本年金機構を設置する社会保険庁改革関連法案とともに可決し、参院に送付する方針だが、「お互いの存亡を賭けた戦いになる」といわれている今年夏の参院選に向けて、与野党の攻防がさらに激しくなるのは間違いない。
小沢氏 「逝去に対し、哀悼の意を表す。死を選ぶなら、むしろ国民の前に事実を明らかにする勇気を持ってほしかった」
安倍首相 「任命権者として責任をかみしめている。事務所費問題で厳しい指摘があったと十分承知している。この国会で政治資金規正法の改正に取り組まなければならないと決意を新たにしている」
党首討論の冒頭、安倍首相と小沢氏は松岡氏の自殺についてやりとりを交わしたが、この後は年金問題一色の展開となった。
安倍首相は年金記録紛失問題の対策として、該当者不明の年金記録5000万件の調査について「1年以内にすべての記録と突合する」と表明。さらに、被害者の年金記録の復活について、弁護士や税理士からなる第三者機関で検討することを説明した。
小沢氏は「(保険料支払いの)挙証責任を国民に押し付けたままでは、今までと変わりがない。(政府が)支払ったという国民の主張を基本的には尊重すべきだ」と繰り返し主張。安倍首相は「まじめに納付してきた方に給付する仕組みを話している」と反論した。
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■党首討論の舞台裏
「党首討論を1日、2日延期してほしいと思っていたが(民主党に)了解してもらえず、本当に残念だ。立場が違っても惻隠(そくいん)の情はお互いに持つべきではないか」
安倍首相は30日、党首討論出席のために松岡氏の密葬出席を断念したことについて民主党の対応を批判した。
30日の党首討論に姿を現した安倍首相は、苦虫をかみつぶしたような表情だった。対する民主党の小沢代表は飄然(ひょうぜん)と椅子(いす)に座った。29日深夜まで、自民、民主両党間では、松岡氏の密葬への首相出席と党首討論の延期をめぐり、激しい暗闘があった。
29日午後8時過ぎ。安倍首相が公邸の自室に入ると官邸から電話が鳴った。
首相秘書官 「民主党は30日の党首討論開催は譲らず、松岡氏の密葬への参列は困難になりそうです」
安倍首相 「なぜだ。もともと民主党は党首討論に乗り気じゃなかったではないか。再度粘り強く折衝するように伝えてくれ」
安倍首相の強いこだわりにより、自民党の国会対策委員会のメンバーが動いた。
29日夕までは、党首討論の延期はほぼ既定路線だったが、与党側が議員立法で年金時効撤廃特例法案を提出し、31日に社保庁改革関連法案とセットで衆院通過を狙ってきたことから、野党側は態度を硬化させた。
小沢氏は「党首討論の延期をのむという情けをかけたのに、無理やり年金救済特例法を入れてくるなんて冗談じゃない」と激高し、特例法案審議の延期を党首討論延期の条件とすることを決めた。
自民党の二階俊博(にかい・としひろ)国対委員長が都内で民主党の平野博文(ひらの・ひろふみ)国対委員長代理と会談するなど局面打開に動いたが、午後11時50分過ぎに交渉は決裂した。
安倍首相の怒りは収まらず、「民主党に人情はないのか。もし、党首討論で松岡氏の死をおとしめるような発言が出たら許さない」と周囲に漏らしたほどだった。
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【用語解説】年金の記録不備問題
公的年金で は従来、転職や結婚のたびに別の年金番号を付与していたため、1人で複数の番号を保有。これを統合するため1997(平成9)年に加入者1人に1つの基礎 年金番号制度をスタートさせたが、統合が完了せず今でも約5000万件の記録が宙に浮いた形になっている。昨年8月から態勢を強化した社会保険庁の記録相談で、社保庁が「記録が存在しない」と回答した約2万件のうち国民年金で86件、厚生年金で1件は相談者が保管していた領収書などに基づき記録を訂正したことが判明。記録管理のずさんさが年金不信を高める結果となっている。
政界とマスコミは年金問題でゆれているようだ。
詳細は不明だが、この件は以前も問題になっていたように思え、緑資源うんぬんの件もそうだと思うが、参院選をにらんだ上で、絶好のタイミングとして狙った批判といえるだろう。
こういったことには飽き飽きしている。いつになったらまともな政治が行われるのだろうか。
また、故松岡氏に対する民主党の配慮のなさからかどうか安倍氏がかなり立腹しているようだ。
今までは随分おとなしく振る舞っていたが松岡氏の自殺の件は、やはり相当応えているようだ。さらに政権支持率の急落も原因としてあるだろう。
一方、民主党は窮鼠猫を咬むといわんばかり攻撃態勢で、色々な意味で追い風になっており、今まで拒否していた党首討論を安倍氏の松岡氏の通夜への参加まで取りやめさせてまで行おうとするあたり、あまりにも下品であるが、作戦は成功しているといえる。
さて、年金記録不備問題であるが、一体何が問題になっているのかさっぱりわからない。
また5000万件という数字ばかりが叫ばれ、その数字は何を対象としたものかも分からない
記事によれば突合資料はあるとのことのなので、基礎年金番号制度の導入時にマッチングできなかった資料が紙ベースでのこっているのだろう。
それであれば、氏名、生年月日、性別、当事の住所、拠出額などは最低限分かるはずで、それをデータベース化し、所謂プログラム的に名寄せを行い、それでもマッチングできない部分は人の目で名寄せすれば、ほとんどの人を救済可能ではないかと思われる。
勿論、偽名やそもそもの記録が抜け落ちているなどのことがない限りであるが。
しかし、例えば偽名を使用するケースなどは保険料支払回避目的や職務履歴を追跡されないために、故意にマッチングを避けるケースもあっただろうから、それらのケースにまで救済する必要もないかと思われる。
これらのことについて、国会は責任の所在について議論するのではなく、もっと前向きな議論をすべきだ。
早急に5000万件の内訳を国民に提示し、既申請者についてのデータを実際にマッチングした結果と突合するなどして国民を安心させるのが先ではないか。
そして、当然ながら、挙証責任は国にあるものとしなければならない。そしてそのためのデータベース構築を急ぎマッチングを早急に行い、それを物証として利用できるかどうかを検証する。その上で当該物証を基本に問題を解決すべきである。
よって、あらゆる申請を善意に捉えるなどの気持ち悪いことは間違っても言ってくれるな。
但し、既存データの極端に不備であることが明らかな場合は、物証がなくともある程度の蓋然性が高いケースについては請求に応えるような配慮も必要だろう。
また、この件には5年の時効が適用されていたようで、国の瑕疵が原因で受給できないにも関わらず、それを国自身が時効を理由に支給を拒むとは、あきれ果ててものが言えない。
しかも、これに加担した役人には一切処分が下されていない?
マスコミのほとんどはこれを政局として扱いたいようだが、そもそもの責任は社会保険庁にあるのは明らかである。
そこの責任追及をせず、与野党間で責任を転嫁、罵倒しあうのを喜んで見、さらにそれをけし掛けるなど、見ていて情けなくなってくる。
マスコミは挙って社会保険庁が悪いというが、責任者を罰せよとはいわない。ただ単にあの組織が悪いといった極めて抽象的なバッシングしかせず、直接責任者を証人喚問するべきなどの発言は見られないのは残念である。
いわば、年金問題自体をネタにしているというよりは、政局が混乱しているのをネタにしていると思われ、本末転倒も甚だしい。
私自身は年金に興味もなく掛け捨て保険ぐらいにしか思っていないが、国民の多くは関心を持っているのだろう。そしてそこを当て込んだ上での民主党とマスコミの行動に踊らされる国民。
はっきりいって茶番だ。
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