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【社会】

『くらま』と韓国船衝突 ヘリ護衛艦稼働1隻に

2009年10月29日 夕刊

 関門海峡で起きた海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「くらま」と、韓国籍コンテナ船の衝突事故で、くらまの長期修理が必要になったことから、海自が保有する同型のヘリ搭載護衛艦四隻のうち、稼働可能なのは一隻だけとなることが、分かった。

 ヘリ搭載護衛艦は、対潜水艦戦の主力艦。中国海軍の潜水艦の動きが活発化しているため、対潜水艦戦に有効な哨戒ヘリコプターを三機搭載した同型艦の重要性が増している。

 ところが、ヘリ搭載護衛艦四隻のうち、「はるな」は今年三月、老朽化に伴い廃艦。代替のヘリ空母型護衛艦「ひゅうが」は就役訓練中で、任務に就くのは来年三月ごろだ。

 「しらね」は一昨年の火災で、艦の頭脳である戦闘指揮所が全焼。修理と就役を繰り返し、来月四日からは定期修理のため、八カ月間ドック入りする。「くらま」は衝突事故で、艦首部分が炎上、えぐり取られるようになっており、修理には一年前後かかる見通し。

 残るのは「ひえい」一隻になる。しかし、「ひえい」は来年一月に年次検査に入るため、年明け早々に稼働可能なヘリ搭載護衛艦はゼロとなる。海自幹部は「初めての事態。想定外だ」と絶句する。

 ヘリ搭載護衛艦一隻の機能を代替するには、ヘリ一機を搭載する汎用型の護衛艦三隻が必要になるが、年度末には多くの艦が一斉にドック入りする。海自は「国防の穴」を埋めるため、苦しいやりくりを強いられることになる。

 その一方で、北沢俊美防衛相は来年一月に期限切れとなるインド洋の洋上補給に活用している補給艦を、ソマリア沖の海賊対処に回す案を明らかにした。補給艦には護衛艦がセットで派遣される。「国防より海外活動優先」となれば、「本末転倒」という批判が出ることも予想される。

 

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