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【社会】

クルド人兄妹「日本にいさせて」 名古屋在住、在留特別許可求める

2009年10月30日 夕刊

「日本での友達や先生が支えです」と話す妹。大学は休まず毎日通っている=名古屋市内で

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◆きょう入管に出頭、収容の可能性も

 両親とともに国外退去処分を受けたイラン国籍のクルド人兄妹=名古屋市=が、入管当局に在留特別許可を求めている。9年半前に来日。兄妹は小学校に編入し、現在は兄は愛知県内の短大、妹は大学に通う。法相が諮問した難民審査参与員は兄妹に「特別な配慮が相当」との意見を出したが、3年半たった今年9月に突然、強制退去処分に。妹は「日本にいさせてください」と訴える。

 妹によると、家族は2000年に「反政府組織を支援した父親が危害を逃れるため」乗り換えビザで来日。兄と妹は名古屋市内の小学校に編入し「なぜ日本にいるのか理解できないまま、必死で日本語を勉強した」。

 妹は日本での就職を目指し、大学で懸命に勉強している。「勉強も大学も好き。でも10年間、安心できた日はない」と言う。

 妹が中学生だった03年に父親は不法滞在の疑いで逮捕され強制退去処分となった。取り消しと難民認定を求めたが、認められなかった。今は仮放免され自宅にいるが「ひどいうつ状態」。心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されている。イランでの過酷な体験などが原因とみられるという。

 ただ、両親の異議申し立てを受け、法相が諮問した難民審査参与員は06年、兄と妹には「特別な配慮をすることが相当」と付言した。だが兄と妹も強制退去処分に。「参与員の意見が希望だった。ショックだった」

 仮放免中の一家4人は、30日に入管に出頭し更新手続きをするが、そのまま収容される可能性もある。

 代理人の金岡繁裕弁護士は「参与員の意見が出た後、在留特別許可を出すよう繰り返し求めたのに、3年半も放置してきた。なぜ今になって強制退去処分なのか」と憤る。兄妹は処分取り消しを求める提訴を検討中だ。

 「イランには帰ろうにも帰れない。義務教育も日本で受け、まじめに勉強してきた。日本に安心していられるようにしてください」と妹は訴えている。

 名古屋入国管理局の担当者は「個別の案件については答えられない」と話している。

 

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