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HASUNAの新作、ルワンダコレクション

「紛争ダイヤモンド」や、児童労働などに由来する素材を使用しない「エシカル・ジュエリー」。地球のココロ・ニュース欄でも以前お知らせした「HASUNA」は、日本初のエシカル・ジュエリーブランドです。「ジュエリーに関わる全ての人を笑顔に」。代表の白木夏子さんに、エシカル・ジュエリーにかける思いと夢を語っていただきました。

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<白木夏子さんプロフィール>
1981年生。2002年から英ロンドン大学キングスカレッジにて、発展途上国の開発について学ぶ。
卒業後は国連人口基金ベトナム・ハノイ事務所とアジア開発銀行研究所 にてインターンを経験し、投資ファンド事業会社勤務を経て2009年4月にエシカル・ジュエリービジネスを展開するため株式会社HASUNAを設立。
現在、同社代表取締役。

留学、国連インターン、そして投資会社

「世界中で起きている問題を解決したい」。短大時代に世界の貧困問題を知った白木さんはロンドンの大学に留学。その時、NGOのソーシャルワーカーと共にインド各地の最貧困層の村を2ヶ月かけて訪問し、貧しい人々の現状を目の当たりにしました。 「ある人は鉱山で1日中働かされても、賃金はほんのわずか。食べるのに精一杯の最貧層の暮らしぶりを見て、衝撃を受けました」

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インドで最貧層の人々と交流(2003年7月)

卒業後、こうした体験を踏まえて国連組織のインターンとして働きますが、「人々が自分の仕事にプライドが持てるように手助けするのが本当の援助。施しを与えるだけでいいのだろうか」と思い悩みます。 「貧しさから脱するには、まっとうな賃金が得られなければいけない。搾取のない公正なビジネスを成り立たせるにはどうすればいいのかを知るために、まずビジネスの構造を学ぶ必要がありました。そこで、自分がお金を稼ぐところから始めようと投資ファンド事業会社で働くことにしました」

寝る時間も削るような激務の日々の中で「お金を稼ぐこと、人からお金をいただくことの大変さを学んだ」という白木さん。退職後も、公正なビジネスの実現に向けて模索が続きます。

お金のある人からお金のない人へ

「投資ファンド事業会社はそれまで見てきた国際援助の世界とは価値がまるっきり反対で、お金が全てを支配する弱肉強食の世界。そこで働いてる人たちは、高級車に乗り、豪勢な食事をし、週末にはクルーザーに乗って豪快に遊んだり。お金の使い方も今まで見てきた世界とはまるで違う(笑)。

でも、一方で世界にはその日を生きるので精一杯の人もいる。お金のある人からお金のない人へ、ビジネスを通じてお金を移動させるにはどうすればいいのか、考えました。その時に『人々はジュエリーにはお金を使うことを惜しまない』ということに気が付いたのです」

折しも白木さんはその頃、欧米ですでに10年ほどの歴史を持つエシカル・ジュエリーの存在を知ります。ファッションデザイナーを母親に持つ白木さんは小さい頃から「自分の手でジュエリーを作ってみたいと思っていたけど、まさかそれで食べて行けるなんて今までまったく考えていなかった」。

途上国の生産者に公正な賃金を払い、紛争が関与しない素材を使用したエシカル=公正なジュエリーを作るというビジネスモデルで途上国に貢献しよう、と白木さんは決めました。

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ジュエリー素材を加工する現地職人。公正な賃金を支払うことで、職への誇りが芽生える

ジュエリー全体の1割をエシカルに

それまで国内ではほとんど知られて来なかったエシカルジュエリーが一躍人々の注目を集めたのは、レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ブラッド・ダイヤモンド」がきっかけでした。ダイヤモンド採掘にまつわる紛争をテーマにしたこの映画によって、「ジュエリーに対する人々の意識が変わった」と白木さんは語ります。

「ジュエリーは身につけた人を最大限に輝かせるためのもの。その象徴であるダイヤモンドが、実は紛争を通じて産み出された『血塗られた』ものになってしまっている。紛争ダイヤモンドを身につけるのはやめよう、という人も現れました」

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ダイヤモンドが生む莫大な利益は紛争の火種となった
(Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by Swamibu.)

そして今、ジュエリーにエシカルを求める人々は少しずつ、確実に増えています。
「HASUNAの存在を知って、これまでダイヤモンドを諦めていた人も『これで身につけられる』と喜んでくれました。例えば、野菜やコスメは人体に直接影響するものだから、原料を気にする人は多い。けれどもジュエリーは身につけても何も影響がないから気にする人は少なかった。

これからは、ジュエリーにも原料や由来についての情報が求められる時代です。そして、お金を持っている人たちはやはりモノに対する目が肥えている。そうした人々のニーズに応え、クオリティで納得していただける製品を作るために、日々研鑽しています」

「ジュエリーの尊さに影がさしてはいけません。身につけた人に輝きと喜びを与えるのがエシカル・ジュエリーの役目です」。そう語る白木さんは10年後のジュエリーを「現在の国内の年間市場規模は約1兆円ですが、10%程度はエシカルにシフトさせたい」と見据えます。
「そのためにはまずエシカル・ジュエリーについて、みなさんに広く知っていただきたいですね。美しさを手にとって確かめてほしいと思います」

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HASUNAのベリーズ・コレクション。貝殻や珊瑚をあしらい、カリブ海をイメージさせる

HASUNAでは10月28日から11月3日まで日本橋高島屋1階で展示販売するほか、11月25日から12月25日まで、新宿小田急本店にて期間限定ショップを出展します。

HASUNAが拓いたエシカル・ジュエリーの世界。ジュエリーに関わる全ての人を幸せにする、その美しさに触れてみませんか?


斉藤 円華

斉藤 円華(さいとう まどか)
一軒家を借りて、庭を耕すスローライフ研究家。ジャーナリスト集団「ufp」会員。自転車やサステナビリティをテーマに執筆中。夢は自分の田んぼでおコメを収穫すること。
>ブログ mdk-on-line


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