実際に押井守監督がどこまでを参考にしたのか判断する事は出来ないが例えば人形に関するセリフの多くは澁澤氏の著書からの引用も多い。生命の宿っていない人形、屍体、そういうものへの情景的な部分などまさにそのものであろう。
もうひとつ、これは引用ではなくてアイディアを拾ったであろう部分も多々ある。これはたまたま押井さんの趣味と澁澤氏の趣味があったものであろうが澁澤氏の著書でヒントとなる文言、引用が多数出てくるのだ。人形に関してのアイディアはここが源なのかもしれない。四谷シモン、ヴォーカーソン、ハンス・ベルメール、人と似ていて異なる存在を作り出す思想などなど上げればきりが無い。ここから新しい資料に読み進めたかもしれないしさわりだけ引用したのかもしれない、ただ興味深い話が多く非常に楽しめる。
もっとも固定観念に固執した頭で読むとクラクラするので柔軟に対応出来る余裕がある時に読むべき本であろう。
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