結婚詐欺女　遺体発見前に大出さんと食事

大出さんの８月５日の足取り Photo By スポニチ

　埼玉県警に詐欺容疑などで逮捕された無職女（３４）＝東京都豊島区＝の知人男性が相次いで不審死した事件で、女が、８月６日に遺体で見つかった会社員大出嘉之さん＝当時（４１）＝と前日５日夜に「自分の部屋で一緒に食事をした」と説明していることが２９日、捜査関係者への取材で分かった。同県警らは大出さんが遺体で発見されるまでの経緯をより詳しく調べている。

　捜査関係者によると、女は食事の後、大出さんが借りたレンタカーで遺体発見現場の埼玉県富士見市の駐車場に行ったことを認め「駐車場でけんかをして別れた。そのショックで自殺したのではないか」と説明している。

　一酸化炭素中毒で死亡した大出さんの遺体からは、睡眠薬の成分とアルコールを検出。県警は大出さんの飲酒や睡眠薬の摂取について、女が何らかの事情を知っているとみて調べている。大出さんは普段はほとんど飲酒しないといい、女が睡眠薬を飲ませるため意図的に飲酒させた疑惑も浮上。

　大出さんは５日午前１１時２７分、自身のブログに「２泊３日で相手と婚前旅行に行く」などと書き込み。午後７時ごろに東京・池袋周辺でレンタカーを借り、そのまま板橋区内の女の自宅に向かったとみられる。県警は女がレンタカーを運転して現場駐車場に向かった可能性が高いとみている。

　女は今年４月以降、インターネット経由で練炭などを購入。大出さんの遺体発見時に車内にあった練炭の燃えかすは、女が購入したものと同じタイプだった。点火用のマッチやライターは車内に残されておらず、大出さんが自分で火をつけた可能性は低い。

　女が結婚詐欺の被害者となった長野県塩尻市と静岡県の男性に対し、金を受け取った２、３日後に別れ話を持ち掛けていたことも判明。また、女は有料の結婚紹介サイトに複数の名前を使って登録し、数十人の男と連絡を取っていたという。さらなる“カモ”を物色していたとみられる。県警は、女がサイトを利用して相手を探し、同時に複数の男性と交際していたとみて、詐欺被害の実態解明を急ぐ。

　大出さんから約５００万円をだまし取るなど、女は複数の男性から計１億円近くを受け取ったとされるが、９月２５日に詐欺容疑で逮捕された際、銀行口座にはほとんど金が残っていなかった。

[ 2009年10月30日 ]