福岡県飯塚市の国道で飲酒ひき逃げ事故を起こしたとして、危険運転致傷罪と道交法違反(ひき逃げ、事故不申告)の罪に問われた元県警小倉南署巡査部長、古賀達雄被告(49)=同県福智町赤池、懲戒免職=の初公判が29日、福岡地裁飯塚支部(神田温子裁判官)であった。罪状認否で古賀被告は「事実その通り間違いありません」と起訴内容を全面的に認めたうえで「大変申し訳ないことをした」と述べた。検察側は懲役2年6月を求刑、結審した。判決は11月18日。
検察側は冒頭陳述で「妻との離婚後、子どもの親権が妻に移った2006年8月ごろから、ストレスが募った古賀被告は飲酒運転をするようになった」と指摘。
同月は公務員の飲酒運転による3児死亡事故が福岡市の「海の中道大橋」で起きたが、検察側は「(古賀被告は)事故と同じころから『ちょっとぐらいなら事故は起こさない。警察にもばれない』と思い、飲酒から数時間後には運転するようになった」とした。
さらに検察側は今回の事件当時、古賀被告は「酔っていることを自覚しながらも『早く家に帰りたい』と運転を開始した」と経緯を説明。飲酒運転発覚を恐れて110番通報をせず、飲酒検知も拒否したと指摘した。
飲酒運転の回数について「10回より多い」と供述した古賀被告の調書も朗読された。3児死亡事故については「当日頭に浮かばなかった」としている。
古賀被告は白髪頭を短く刈り込み、紺のスーツと白いワイシャツ姿で入廷。冒頭陳述の間、ひざの上に軽く手を置いたまま時折伏し目がちに検察官の言葉に聞き入った。
起訴状によると、古賀被告は8月24日夜、飲酒で正常な走行ができない状態で普通乗用車を運転し、同県飯塚市の国道を逆走。50代女性の車に衝突し、頭部打撲などのけがを負わせ、現場から逃走したとされる。
=2009/10/29付 西日本新聞夕刊=