名護市長選見極め/米が複数案を提示

　【東京】鳩山由紀夫首相は１６日、米軍普天間飛行場の移設先について「（来年１月の）名護市長選と（同１１月に想定される）知事選の中間くらいで結論が必要になってくる」と述べ、来年夏ごろをめどに最終的に判断する意向を示した。首相官邸で記者団に話した。一方、日米協議の中で、米側が名護市辺野古への日米合意案を基本にしながら、複数の移設案を提案していたことも判明。日本側の意向を探る狙いがあるとみられる。

　鳩山首相は「当然米国とすれば早く結論を出してもらいたいという思いはある。しかし日本には日本の事情があって、まだ新政権ができたばかりだ」と指摘。「今すぐに結論を出すよりも、先にアフガニスタンでの協力に明るいメッセージが出せる方向を見いだしたい」と述べ、アフガン支援策を優先して検討する考えを明らかにした。

　結論の導き方に関して「沖縄県民の意思をしっかり承りながら、政府として米国と交渉し、結論を出したい。まだ時間があると思っている」と言及。辺野古移設の是非が争点に浮上している名護市長選の結果も踏まえて判断する考えを示唆した。

　鳩山首相の発言を受け、来年度予算の概算要求で「仮置き」された普天間関連予算が、年末の予算編成で計上されるか流動的な要素が強まった。

　日米合意で定めた普天間代替施設の２０１４年完成には、来年夏までに知事の公有水面埋め立て許可を得なければならず、こうした手続き上の理由も首相発言の背景にあるとみられる。

　政府関係者によると、現行案に決定した経緯のレビュー（再検討）の過程で、米側から複数案が提示された。再検討作業では、米側からの説明はほぼ終了。今後は、日本側が説明を踏まえて考えをまとめる段階に入る。別の政府関係者は「（日米合意を基本とする）米側の姿勢は固い」と話しており、米側は複数案を提示することで来週のゲーツ国防長官訪日や来月のオバマ大統領訪日を控え、日本側の認識を確認する思惑があるとみられる。