【東京】岡田克也外相は23日の記者会見で、米軍普天間飛行場の移設問題について「内閣の見解ではない」と前置きした上で、「(移設先探しの)時間をかけるほど普天間飛行場の危険性は持続する。県外移転は考えられない状況だ」と述べ、民主党がこれまで主張してきた県外、国外移転の方針を撤回し、県内移設を検討する考えを表明した。具体的には、嘉手納統合案を検討する考えを示した。 県内移設を推進することは県外、国外移設を目指すとしてきた民主党のこれまでの主張に反するだけでなく「沖縄県民の負担軽減の観点から在日米軍の在り方について見直しの方向で臨む」とした3党連立合意との整合性も問われそうだ。
県外、国外移設を目指すとした民主党の沖縄ビジョンやマニフェスト(政権公約)との整合性について岡田氏は「政権公約では県外、国外という表現は使っていない。使っていないから否定したわけではないが、(政権公約で)表現が変わっているということは、それなりの方向性も秘められているということだ」と述べ、政権公約の範囲内と強調した。
嘉手納統合案を支持する理由について岡田氏は「既存の飛行場がある。一から基地を造らなくて良いので時間がかからない」と利点を挙げた。辺野古案を沖合修正する計画については「沖合移動すると、埋め立てる量が増える」と否定的な姿勢を示し、嘉手納統合案と辺野古移設案を比べ「どちらが絶対良いかということではなく、どちらがましかという判断だ」と説明した。
◆岡田外相一問一答「限られた時間で解決」
―県外、国外移設は検討するか。
「県外は事実上、選択肢としては挙げられない」
―嘉手納統合案は。
「辺野古移設案よりも実現が早い可能性がある」
―県内移設には反対している社民党への対応は。
「それも含めまだ、この案と決めたわけではない。連立与党ともよく相談しなければいけない」
―民主党の沖縄ビジョンなどとの整合性は。
「県外がベターだとは思う。しかし、時間をかけて良い問題ではなく、限られた時間で解決しない限り、普天間の問題が継続される。普天間が続かないという意味で、結果的に沖縄の負担を減らすことになる」
―県外、国外を目指す気持ちは変わらないと言い続けた。なぜ変わったのか。
「今でも気持ちは変わらない。大事なことは沖縄の負担を減らすことだ。いたずらに時間をかけることは、負担を減らすことにならない」
<用語>嘉手納統合案
米軍普天間飛行場の移設先として、同飛行場の機能を嘉手納基地に統合し、基地の整理縮小を行う考え。1996年の日米特別行動委員会(SACO)の普天間飛行場移設に関する検討過程で、名護市辺野古への移設案と並列して挙がった。しかし、米軍から、固定翼機と回転翼機の混在による運用上の危険性や有事における作戦準備態勢の低下などが指摘され、地元の反発があり廃案となった。最近では下地幹郎衆院議員(国民新)が「新嘉手納統合案」を再提案。嘉手納基地部隊のグアム移転を前提に、普天間のヘリ部隊を嘉手納に移駐させ、総飛行回数は増やさない案を示した。基地周辺自治体からは、騒音激化や基地の機能強化を懸念して、反対の声が上がっている。
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