阪神は28日、29日に行われるドラフト会議に向けて都内のホテルで南信男球団社長(54)、真弓明信監督(56)を交えてスカウト会議を開き、史上最多9球団競合の可能性がある菊池雄星投手(18)=花巻東=の1位指名を確認した。城島健司捕手(33)獲得の勢いに乗ってクジを引く真弓監督は「そろそろ当たるころ。予感はある」と交渉権獲得に自信を見せた。
◇ ◇
わずか7日間でチームを変える男、城島獲得に成功した真弓阪神。その勢いを借りて次はドラフト会議へ。20年に1人の逸材と言われる花巻東・菊池を引き当てる。
真弓監督は「こういうことは勢いのある時の方が当たる。当たる予感?ありますよ」と平然と言ってのけた。その表情には自信があふれていた。流れは我が手にあると信じて疑わない将の顔だった。
この日、フロント、スカウトが集結して開かれた会議で話し合われたのは、各球団の指名シミュレーションだけではなかった。
「(クジを)引いたら5時何分の新幹線で8時何分に着いて。その時にあいさつするかしないのか向こうの都合を聞いてというのをね」
当たりくじをひいた前提で指名あいさつの段取りまで決めたというのだ。城島獲得の際にも交渉解禁とともに指揮官自ら交渉のテーブルに着いたフットワークの軽さをここでも見せつけるつもりだ。
チームには85年のPL学園・清原を外して以来、ドラフト1位指名の競合抽選は10連敗という負のデータがあるが「そろそろ当たるころやな」とニヤリ。カーネルサンダースの呪(のろ)いと結びつける質問も飛んだが一笑に付した。
チーム編成を見ても左投手の補強は最重要ポイントに当たる。さらに甲子園を沸かせたヒーローであり、話題性においても最高の素材といえる。
指揮官も賛辞を惜しまない。「あれだけスピードがありながら結構まとまっているところ。スピードだけなら(ほかにも)結構いる。20年に1人の逸材だと思うよ」
その目にはタテジマを着た左腕が見えているかのよう。城島と並ぶ今オフ補強の目玉をその右手で引き当ててみせる。