◆異常な9月議会の運営、議長辞任の経過
《本来は当初議案で提案されるべきでした》
りんごっこ保育園の裁判所による和解勧告に基づき、10月1日開園を市が準備し始めた時から、9月議会でりんごっこ保育園関連予算が補正計上されるという予測を議会各派が持っていました。ところが当初議案では提案されず、市長が所信表明で追加提案として提出をすると発言。しかし、最終日への追加議案にもりんごっこ関連予算はありませんでした。
日本共産党は、最終日を迎える前の会派代表者会議や議会運営委員会で、なぜ補正予算が提出されないのかと追求しましたが、他会派は出てこないものは仕様がないと黙認。
市長が突如「りんごっこ保育園の補正予算を提出したいので会期を延長してもらいたい」と議会運営委員会に申し出たのは9月28日最終日の時間切れ間際でした。そこで会期の2日間の延長、9月29日議案提出、30日13時から本会議という日程が決まったのです。まずこうした提案の方法そのものが異例のことで、日本共産党市議団にとっては寝耳に水のことでした。
《なぜ開会を大幅に遅れさせたの?》
9月30日の本会議は、議会運営も初めから異常でした。
そもそも13時から開会となっているのに、開会に先立ち、議会運営委員会の自民、公明、民主クの与党会派が、草の根市民クラブの矢野議員はりんごっこ保育園の関係者なので議案審議に当って「除斥(議席にいてはならない)」の必要があると言いだしたのです。
しかし、日本共産党は自治法第117条で『自己または近親者の一身上に関する事件、または従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することはできない』となっていても、『予算は総合的なものであり、たとえ本人が自治体からの補助金を受け取る団体の責任者であっても「除斥」の対象にならない』という注釈があることを示して、本会議の早期開会を要求しました。それでも与党は譲らず、ついには共産党を締め出し、与党3会派による協議に入り、16時30分頃時間延長のために本会議を開会、生活者ネットの島崎議員が「矢野議員の除斥の調査を求める」動議を提案し、調査のための休憩に入りました。
市議会議長会に問い合わせするも、結局はその議会の考え方だと回答され、矢野議員とりんごっこ保育園設置者の高野氏との関係を調査するにも時間が掛かるので、今回は除斥としないことを議運で確認、20時になってやっと補正予算の提案説明、審議に入ったのです。
《故意に仕組まれた休憩、議長辞任へ》
議案に対する質疑は自民党(19分)、公明党(17分)、共産党(15分)、民主ク(12分)、生活ネット(10分)、草の根(10分)、希望の空(6分)の順で進められろことになっており、共産党まで質疑が終わったところで22時30分に休憩に入りました。速記者のための休憩というのが口実でした。ところが、それ以後会議は再開されず、共産党は流会、議案は審議未了になってしまうことを危惧し、会議の再開を申し入れ、公明、民主クも再開を要求しましたが渡部議長(自民)が聞き入れず、副議長(公明)も再開の措置をとらなかったため、10月1日0時に議会は自然閉会となり、りんごっこ関連予算は『審議未了廃案』となったのです。
渡部議長(自民)は、当夜説明を求める市民に、審議を進め、採決をすれば否決となり、10月1日開園で入所が決まっている児童や各方面(市長辞職、議会解散も含んでいるらしい)に多大な影響を及ぼすので「自然閉会という非常手段を選択した」と説明、その責任をとり10月8日副議長に対し辞職願を提出。10月30日の臨時会で全会一致辞任が認められました。
《『議会に対する市民の信頼回復をめざす決議』を
共産党、生活者ネット、希望の空で共同提案、自、公、民ク、草の根の反対で否決》
こうした議会運営は当然ながら市民の多大な不信を招きました。定例会終了後市民の求めに応じ、異常な議会あり方を正し、議会らしく改善することについての話し合いを、会議再開を求めた会派(共産、公明、民主ク、生活者ネット、希望の空)の議員が自由参加で行いました。
話し合いは3回行われました。この中で、当日会議再開には議員過半数の署名があればよいこと、議長が応じなくとも仮議長を立てて再開することも出来たことなど、その後の調査で分かったことも含め、参加議員が自らの不勉強を反省しつつ、今後市民に開かれた分かりやすい東村山市議会にすることや臨時議会開催の要求と議会改善の決議を提案しようとの話し合いを進めました。
しかし、臨時議会は開かれたものの、共産、生活者ネット、希望の空が共同提出した「議会に対する市民の信頼回復をめざす決議」は自民、公明、民主ク、草の根の反対で議事日程への追加も出来ませんでした。
10月30日の臨時会ではりんごっこ保育園の補正予算「専決処分」に対する質疑が行われ、共産党、公明党、民主ク、生活ネット、希望の空の反対で不承認となりました。