埼玉県警に結婚詐欺容疑で逮捕された東京都豊島区の女(34)の知人男性が相次いで不審死していた事件で、このうち2人の男性が死亡する前に女がインターネットを通じて練炭、七輪、着火剤を購入していたことが捜査関係者への取材で分かった。また、女は病院で睡眠薬を処方されており、その成分の種類が埼玉県富士見市で死亡していた大出嘉之さん(当時41歳)の体内から検出された睡眠薬の成分と一致したことも分かった。
捜査関係者によると、埼玉県警は女が使用していたパソコンを女の自宅マンションから押収し、インターネットへのアクセス履歴を分析。その結果、千葉県野田市の無職、安藤建三さん(当時80歳)が今年5月15日に自宅火災で不審死する前に練炭、七輪、着火剤のセットを購入したことが判明した。
女は介護ヘルパーとして安藤さん方に出入りしており、同方の焼け跡からは燃えた練炭が見つかっていた。8月に大出さんが死亡していたレンタカー内からも燃えた練炭が見つかっており、埼玉、千葉両県警は女が購入していた練炭との関連を調べている。また、女は会員制の結婚紹介サイトを通じて詐欺被害者の男性と知り合っていたことが埼玉県警への取材で分かった。
県警幹部によると、サイトは1カ月4000円の会員制。女は自分のブログ名と同じハンドルネームで登録していた。女は今年9月下旬に2件の詐欺容疑で逮捕されたほか、10月下旬に別の2件の詐欺未遂容疑で再逮捕されていて、被害者の男性4人にはいずれもこのサイトを通じて接近したという。また捜査関係者によると、女に数千万円を渡していた男性もいたという。
埼玉県警に詐欺容疑で逮捕された東京都豊島区の女(34)が、今年5月に千葉県野田市の無職、安藤建三さん(80)が不審死した直後、インターネットサイトで事件に触れる書き込みをしていたことが分かった。
書き込みの日付は、安藤さんが自宅の火災後に遺体で見つかってから2日後の5月17日の日曜日。
「金曜日は早朝から、月に何度かお手伝いをしている80歳のおじいさまのお宅に伺いました。夜、約束の時間になっても連絡がこないので、どうしたのかしらとこちらから電話をすると『通信機器の電源が入っていないか故障していると思われます』とアナウンスが流れました。翌日心配になってご家族の携帯電話に連絡をすると、『昨日の午後自宅が火事で全焼しました、父親はその中にいて他界しました』と言われて……」とつづっている。
続けて、「私がお手伝いをして帰宅し、数時間後の出来事だった様子。おじいさまと最後に会ったのは、私ではないか、ということで、その後色々なところから事情を聞かれて、サスペンスドラマのような一日でした」と記し、事件とは無関係であることを強調していた。【駒木智一】
毎日新聞 2009年10月28日 15時00分