発達障害がある児童の学校生活支援について話し合いをする大分市内の小中学校教員たち=20日、大分市の金池会館
県内の特別支援学校の教員が小・中学校などに出向いて、落ち着きがなかったり、特定分野の勉強が遅れがちな普通学級の児童の学習支援策を助言する「巡回相談」の依頼件数が急増している。巡回相談は県教委が2005年度から始め、4年間で相談件数が3倍に増えた。県教委や市町村は発達障害がある児童に対する支援の必要性が高まっているとみて、医療機関との連携や学校間の情報交換推進などに力を入れている。
県教委は巡回相談の専門教員として、特別支援学校(15校)に1人以上の「特別支援教育コーディネーター」を配置。依頼を受けた幼稚園や小・中・高校に出向き、授業観察や保護者の了解を得て行う心理検査を通して、児童の指導法を教員に細かく助言している。
相談件数は、05年度の延べ293件から08年度は872件と急増。本年度も8月末時点で552件と08年度を上回る勢い。県教委特別支援教育課は「05年度から一般教職員や管理職向けの特別支援教育研修を実施していることもあり、学校で発達障害に対する理解と教育支援が進んできたからではないか」とみている。
各学校でもコーディネーター(教員1人)が、特別支援学校と連携して児童ごとの教育支援計画の作成などに取り組んでいる。ただ、専任ではなく学級担任などとの掛け持ちのため、十分な時間を確保できないのが実情という。
県教委は現状の人員で、できる限り態勢を充実させるため、コーディネーター向けの研修を通して学校ぐるみで特別支援教育に取り組む意識の醸成に努める。
市町村も支援に取り組んでおり、臼杵、津久見両市は年2回、地域のコーディネーターによる情報交換会を開催。佐伯市は保健所が行う1歳半、3歳児健診に市教委の指導主事を派遣し、保護者に入園・入学時に支援が必要かどうかなどを助言している。
<ポイント>
普通学級での発達障害児童・生徒 文部科学省は02年、小・中学校の普通学級に通う児童・生徒について、全般的な知能の発達に遅れはないが、特定分野が苦手(LD)、注意力が足りなかったり衝動的(ADHD)などの発達障害がある子どもが約6%在籍する可能性があるとして、適切な支援をするよう指針を出した。
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