AVP2 エイリアンズ VS. プレデター (2007) »レビュー
全シリーズに恥じないB級感!
前作は友人と映画館に観に行ったのだが、あの衝撃のラストには感服した。最高にイケてたと思う。ただ、B級として楽しむには少しホワッとした作品だったという感は否めない。
今回の作品は、前作のスタイリッシュなアクションから一転、バイオ○ザード(2?)のようなパニックホラーアクションとなっている。事故によって逃げ出し増殖するエイリアンたち、次々と死んでいく住民と警官・兵士、武装し救援を待つ者と脱出を試みる者・・・ん?どこかで聞いたような・・・。違いがあるとすれば、プレデターが参加していることである。
作品内で登場する住民たち。彼らは、何が起こっているかの理解する間もなく殺されていく。死は平等に訪れる。まさにパニックホラーである。意味などない。登場人物に対する観客の期待も加味されない。
この作品では、作品序盤から場面が目まぐるしく淡々と変化し、様々な登場人物たちの描写が断片化されている。各人物の特徴や関係を深く理解することは困難だが、希薄ながらも感情移入できるくらいには理解できる。そんな彼らが襲われる様は、観客に混乱と不安を与える。(鹿狩りする親子、ウエイトレスとコック、病院の妊婦に関する2度押しは特にひどい)
今回はプレデターも明らかに敵である。だからこそ、終盤で1度だけ主人公が助かるという展開が面白い。また他にも、最後まで助かる女の子と助からなかった子たちを対比して観るのも面白いだろう。そういえば、お父さんのことは忘れているのだろうか・・・。思い出したくないのか。
作品内で軍部が重要な意味を持ってくるところも見どころだ。エイリアンの巣窟に派遣され、何もできないまま殺されていく州兵たち。あの世界最強のアメリカ兵にでさえ気配を気付かせず近づけるとは!エイリアンシリーズファンも納得の強さだ。装甲車でさえヒューマンエラーの前では無力である。
生き残った住民たちは銃を手に取り、唯一の心の救いである救援の噂を頼りだ。ただし、軍部にいた彼女はそう簡単には騙されない。「大佐はウソを。」それに対して、他の女性はこう答えるのだ。「政府はウソをつかない。」間違いない。
エイリアンとプレデター、エイリアンと人間との戦いも見ものである。謎の液体でエイリアンや人間を溶かしたり水を蒸発させたりコンクリートは溶かさなかったり、エイリアンの返り血を浴びて溶けたり溶けなかったは、ご愛嬌である。現代の科学では説明できないだけのことだ。解明責任は観客側にある。有志により、謎が解明されることを期待する。
プレデターが証拠隠滅したり、仕事中に狩りを楽しんだり、エイリアンを倒す段取りが悪かったり、道路に大穴開けたり、エイリアンの収拾がつかなくなったり、最後肉弾戦をはじめ相打ちになったりは、(以下省略)これは戦争なのだ。終盤、プレデターが病院に現れるシーンでは、否が応でもワクワクせざるを得ない。今までも何度となく対峙してきた両者だ。どっちがどっちだか分からないのは、ここだけの内緒だ。
作品全体を通して画面が暗いと不平を言う方もいるようだが、私は進んで明りをつけることにしよう。私が言いたいのは、暗いなら暗いなりの楽しみ方があるということだ。というか、それは制作者側の演出です。
映画においては、必ずしもすべての内容を理解する必要はないということだ。暗くてよく見えない、でも何かが起こっている。その場面の雰囲気さえ分かればよいのである。意味の分からない専門用語や発音が聞き取れないセリフでも、その場独特の雰囲気を楽しむことができるのと同じだ。また、目で見えない分、耳を働かせるということもあるだろう。
最後に一言付け加えるとすると、B級作品をB級作品として楽しめる人にオススメしたい作品だということだ。技術力はあるのに、所々抜けているところが彼らの魅力だ。
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