第2次世界大戦後、旧ソ連によってシベリアに抑留された元日本兵ら計57人(うち5人は死亡)が、国に1人当たり1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、京都地裁は28日、原告側の請求を棄却する判決を言い渡した。
一方で、吉川慎一裁判長は「抑留被害は深刻かつ甚大なものだった」とし、現在まで補償を定めた立法や予算措置がないことに触れ、「政治的決断に待つべきもの」と指摘した。原告団は「今後、速やかな政治的解決を求めていく」としている。
原告は、関東や近畿などに住む元日本兵らで、平均年齢は85歳。
原告らは終戦後にシベリアなどに連行され、強制労働に従事した。冷戦終結後にロシアで見つかった資料をもとに、大本営の参謀や関東軍が旧ソ連に日本兵の抑留と強制連行を認めたとし、国による遺棄行為や安全配慮義務違反があったと主張していた。
国側は「過去の訴訟で解決済みの問題を蒸し返しているにすぎない」として、請求を退けるよう求めていた。