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【FC東京ニュース】米本 職人魂受け継ぐ2009年10月28日 紙面から
FC東京のMF米本拓司(18)が、今季限りで引退するMF浅利悟(35)の“職人魂”を受け継ぐ−。米本は27日、「プレー面だけじゃなくて、人間性の面でも見習うことが多かった。一緒にタイトルを獲得したい」と話し、はなむけのナビスコ杯制覇を誓った。今季ボランチとして台頭したルーキーが、敬愛する背番号7の引退に花を添える。 昨年夏、まだ兵庫・伊丹高3年生だった米本が、FC東京の練習に初参加したとき、地味だがひときわ目を引くベテランの存在があった。 「プレー中に2、3手先を読んで指示を出す。考える力がすごかった。プロの中でもこれだけ考えてサッカーをやる人も数少ない」。練習に参加するまで、浅利という名のプレーヤーを知らなかった。だが、数秒先を予測する能力に驚き、すぐにその名前は心に深く刻まれた。 初練習でのインパクトが、米本のFC東京入団を後押しした。「自分と同じように足も速くないのにプロで長年やっている。近くで一緒にやりたかった」。そして、プロ入り後は人間性にもひかれていった。 「試合が終わった後、サリさんがマネジャーの雑用を手伝ったり、ゴミを片付けたりするのを見てきた」。プロ13年目のベテランが、ルーキーにピッチ外での行動も背中で示してくれた。だからこそ、思いも強くなる。ひっそり野に咲く月見草。地味だが、いぶし銀の輝きは、米本にとってはまぶしく映ったようだ。 浅利の引退で来季は背番号7が空く。受け継ぎたい気持ちはあるが、米本は「サリさんがつけろって言ってくれるぐらいにならないと」と語った。一日でも長く一緒に。そして、もう一回り成長した姿を焼き付ける。「正直、もう1年一緒にやりたかった。寂しいけど、一緒にタイトルを獲りたい」。伝統と意志を引き継いだルーキーが、まずは11・3国立決戦を制す。 (占部哲也)
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