結婚詐欺女　知人男性が相次ぎ不審死

レンタカーの後部座席で大出嘉之さんが死亡しているのが見つかった駐車場 Photo By 共同

　埼玉県警に結婚詐欺などの疑いで逮捕された無職の女（３４）＝東京都豊島区西池袋＝の知人男性２人が、５月と８月に相次いで不自然な経緯で死亡していたことが分かり、県警は殺人事件の疑いもあるとみて捜査を始めた。当初、１人は練炭自殺、もう１人は火災で死亡したとみられたが、その後、両遺体から睡眠薬の成分を検出。女が病院で処方された薬の成分と一致した。また、女とかかわりがある別の男性２人も不審死を遂げており、詐欺事件が連続殺人事件に発展する可能性も出てきた。

　不審死の１人は、東京都千代田区神田神保町の会社員大出嘉之さん＝当時（４１）＝。県警などによると、女と交際していた。

　８月６日午前７時半ごろ、埼玉県富士見市の駐車場に止めたレンタカーの後部座席で死亡しているのが見つかった。助手席に練炭の燃えかすがあり、死因は一酸化炭素中毒だったが、遺書はなく、大出さんの遺体から睡眠薬の成分も検出。車のドアは施錠されているのに車内に鍵がなかった。

　捜査関係者によると、女がインターネットで練炭を購入していたことも判明した。女は県警の調べに、同５日夜は現場の駐車場で「一緒にいた」と認めた上で「別れたので、その後は知らない。自殺したのではないか」と供述。大出さんとはインターネットのサイトを通じて知り合った。「学生だからお金がかかる。欲しいものがある」などとうその話を持ち掛け、約５００万円をだまし取ったとされる。

　また、女が訪問ヘルパーとして出入りしていた千葉県野田市尾崎の安藤建三さん＝当時（８０）＝が５月１５日、自宅が全焼する火事で死亡。安藤さんの遺体からも睡眠薬の成分が検出された。

　安藤さんは息子（３６）と２人暮らしで寝たきりの状態。火事は息子の留守中に発生した。火事の当日、女が安藤さんのキャッシュカードを使って預金を引き出したことが確認されている。

　県警によると、ほかにも都内と千葉県に女とかかわりがあり、不審死を遂げた男性が２人いる。

　女は、長野県の５０代男性への詐欺容疑で９月２５日に埼玉県警に逮捕され、同３０日に静岡県の４０代男性への詐欺容疑で再逮捕された。起訴状などによると、昨年８月から１２月にかけ、結婚相手を探すサイトに会員登録していた５０代男性と４０代男性に「学費が３カ月未納で卒業できない。卒業したらあなたに尽くします」などと結婚話を持ち掛け、それぞれ約１９０万円と１３０万円をだまし取った。詐取した金はクレジットカードの決済などに使ったとみられる。

　１０月２１日に、さいたま地検が２件の詐欺罪で女を起訴。県警は同日、長野県の別の５０代後半の男性と埼玉県ふじみ野市の３０代後半の男性への詐欺未遂容疑で再逮捕した。女は逮捕容疑についてはいずれも認めている。

[ 2009年10月28日 ]