【社会】浪人生、ワクチン“後回し”に不安 「現役との差不公平」2009年10月27日 夕刊 受験シーズンを控え、新型インフルエンザワクチンの優先接種者に浪人生が加えられなかったことに、浪人生らから不安の声が上がっている。現役の高校3年生は優先接種者に含まれており「差がでるのは不公平では」との指摘も。だが、そもそも現役生への接種すら受験期に間に合わない可能性もある。関係者は「一刻も早く接種できるようにしてほしい」と要望している。 厚生労働省が10月に発表したワクチン接種の基本方針では、医療従事者から始まる優先接種者の最後が中高校生。接種開始の目安は来年1月上旬となった。 一方、対象者に高卒後に受験する浪人生は含まれなかった。鳥取県は一時、優先接種者に浪人生も加えようとしたが、厚労省は原則を守るよう伝えた。 予備校約70校でつくる全国予備学校協議会は9月上旬、厚労省に浪人生のワクチン接種を現役生と同時期にできるよう求める要望書を提出したが、実現しなかった。同協議会は「入試の大切さは現役も浪人も一緒。試験会場で感染する危険も」と話す。 受験が本格的になるのは、来年1月16、17日のセンター試験から。ただ、接種後に抗体ができるまで2週間前後かかるとされる。河合塾(本部・名古屋市)は「1月5日までに接種できるのが望ましい」と話すが、厳しい状況になっている。 同塾では「2月からの2次試験の時期に間に合えばありがたい。できるだけ早く受験生みんなが接種できるようになってほしい」と話している。 今後、ワクチンの接種回数が原則2回から1回になれば浪人生への接種開始時期が早まる可能性もある。 名古屋駅近くの予備校に通う男子学生(19)は「これから模試が多くなるし、不安。同じ受験生の中で違いが出るのはおかしい」。別の女子学生(18)は「浪人生は、社会的にあいまいな立場ということかな。感染しても再試験できるようにしてくれれば」と話した。 独立行政法人大学入試センターによると、昨年度のセンター試験を受けた浪人生は10万6000人。全受験生54万4000人の19・5%を占めた。
|