子どもの習い事に、親の学歴や経済状態が影響していることがベネッセコーポレーションの調査で分かった。ピアノなど芸術系の習い事をしている子どもの割合は、父母とも大卒の場合に高く、親の年収が800万円以上の子どもは約8割がスポーツをしているのに対し、200万円未満では4割だった。【岡礼子】
調査は今年3月、3~17歳の子どもを持つ母親約1万5000人を対象にインターネットで実施。子ども1人当たりの教育費(学校の授業料、塾や習い事、教材費などを含む)を調べた。子どもの学年ごとの人数はそれぞれ均等で6.7%、男女比は半々。世帯年収は400万~600万円未満が3割、600万~800万円未満が2割、800万円以上が2割。父母の最終学歴も調査した。
調査によると、小学生にかかる教育費は平均月額2万7100円、中学生3万9800円、高校生で4万6800円と、学校が上がるにつれて増える。また高校では、教育費が1カ月1万~4万円の家庭が全体の約43%を占めたが、5万円以上の家庭も4割近くあり、10万円以上の家庭が14%と、世帯によるばらつきが大きくなっている。
学校の授業料以外のクラブ活動や習い事、学習にかける費用には、家庭の収入によって大きな差があった。年収400万円未満で月額8700円に対し、年収800万円以上では2万6700円と約3倍。また、年収400万円未満でスポーツの習い事をしている子どもは47%、芸術系の習い事をしている子は24%に対し、年収800万円以上ではスポーツ65%、芸術系41%と、収入が高い家庭の方が習い事をしている割合も高い。さらに、家庭学習、塾、スポーツ、芸術系のすべてをしている子どもは7%。その65%は女子で、家庭の年収は平均約800万円、5割が父母とも大学卒だったのに対し、習い事を何もしてない子ども(10%)の家庭の年収は約500万円、父母の大卒率は26%だった。スポーツをしている子どもは、800万円以上の家庭で8割近いのに対し、200万円未満では4割。芸術系の習い事をしている子どもは、父母とも大学卒が約6割で、父母とも大卒でない家庭より20ポイント高かった。
駒澤大学の片岡栄美教授(社会学)は「子どもの習い事には、親の経済状況だけでなく、性別や親の学歴も影響する」と分析し、「スポーツをしているのは女子より男子が多く、家庭の年収の影響が大きい。一方、芸術系の習い事は女子が多く、年収よりも父母の学歴の影響が大きい」と説明した。
習い事について親は経済的負担を感じており、年収800万円以上の家庭でも約半数が「費用の負担が重い」と答えた。調査に参加した西島央・首都大学東京准教授(教育学)は「家庭環境や地域の差があるので、学校や地域が、子どもが活動できる場を確保する必要がある」と話した。
2009年10月27日