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バス停の風景

2009年10月27日0時3分

 ものづくりの工場が立ち並ぶ、東京都大田区の工業団地の一つである城南島のバス停の風景が、ようやく1年前に戻ってきているという。JRの大森駅に向かうバスを待つ人が、夕方の6時ごろに列を作るようになったとのこと。1月、2月はどの工場も仕事がなくなり早帰りをしたため、午後2時、3時という時間帯がときならぬラッシュであったという。

 ゴールデンウイークをすぎ、そして夏もすぎ、残業や休日出勤をするほどの仕事量ではないにしても、定時までの仕事が戻ってきたのだ。しかし、戻らないのは「価格」と「給料」である。部品加工の取引価格が、昨年の春までの15%から20%のダウンのまま動かないのだ。遊んでいるよりはよいにしても昨年の夏までの活気とはあまりにも違う。

 給料も同様だ。夏のボーナスは、ほとんどの工場が1カ月ぽっきりである。この冬も同じだろう。1年前はどこも夏、冬ともに2カ月分は出ていた。従業員にも減額の理由は分かりすぎるほど分かっている。受注価格が戻るには、休日出勤や目いっぱいの残業が数カ月続く忙しさが必要だが、受注残が1週間分や10日分ではどうにもならないのである。

 クルマや家電などのエコ減税はけっこう効果があったが、このままでは息切れしてしまう。個人消費も振るわないが、法人消費の中心としての設備投資も増えようがないのだ。

 設備投資の先行指標である工作機械受注の動向をみると、昨年と比べると60%以上の受注減で低迷しているが、下げ幅は6カ月連続して改善している。このままのテンポで回復が続くとよいのだが、明るい話題が国内で少ないのが残念である。(遠雷)

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 「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。

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