■ 2002/12/20 今年最後のリクエスト|世田谷一家殺害事件のその後

私がいつも聴いていますNHK−FMのリクエスト番組「サンセット・パーク」宛てのリクエスト・カードをご紹介しています「リクエストの足跡」のコーナーを更新しています。

■ 今回のリクエスト→ 「ACROSS THE UNIVERSE」(フィオナ・アップル)

リクエスト・カードにも書きましたが、金曜日宛には久しぶりのリクエストになります。正確にいいますと、前回リクエストしたのが昨年の9月14日ですから、1年3カ月ぶりですね。

で、たまにリクエストするとなると「何をリクエストしようかな、、、?」と悩んでしまいます。季節柄クリスマスにちなんだ曲も考えましたが、それは他のリスナーがリクエストするだろうと考え、敢えて全く関係のない曲を選んでみました。

それにしても、改めて自分がリクエストした過去の曲目リストを見返してみると、自分ではバラエティに富んだリクエスト曲を選曲しているつもりになっていましたが、実際はそうでもなく、特定のアーティストの曲が割と多いことに気づきます。

中でも今回のフィオナ・アップル"Fiona Apple")はお気に入りのアーティストの一人で、彼女の曲は過去に割とリクエストしています。

今回の曲は、今更いうまでもなく、元ビートルズの故ジョン・レノンポール・マッカートニーの手になる曲で、それを彼女がカヴァーしているわけですが、番組の中でパーソナリティの星さんも感想を漏らされたように「けだるい感じ」で歌っていて、なかなかいいと思いますがいかがでしょうか? また、歌詞の方も、これから年の瀬を迎える今頃の時期に妙に似合っているかな、と思ってもいます。

ともあれ、今年最後の「サンセット・パーク」にリクエストした曲も無事に番組で採用してもらえ、良い締めくくりをできたように思います。

迎える2003年も、この程度に肩の力を抜いてリクエストをし、番組に関わっていこうと考えているところです。選曲の東さんや竹森さん(水曜日担当)をはじめ、「週刊 音発見」担当の小野恭子さん他各曜日担当のアナウンサーさんには感謝の言葉を贈りたいと思います。


昨年も今ぐらいの時期にこの事件については書きましたが、今年も少しばかり書いてみたいと思います。その事件とは_「世田谷一家殺害事件」です(→ 本サイト内関連ページ)。

この事件について書きたくなったきっかけは、12月17日から3日連続で産経新聞に掲載された記事を読んだからですが、この事件は丸2年経とうとしている現在も未解決のままで、さらに事件自体に不可解な点が多いことも関心を呼ぶ要因になっています。

で、今回の産経新聞の短期連載記事には、「本事件の捜査に当たっている捜査本部がどうしても裏付け・事件との関係の有無を判断できずにいる“不審者”が4人から11人いる」と書かれている点が注目されます。そこで、新聞に載っている以下の4人について順に見ていこうと思います。

  1. 日光駅の男
  2. ビデオの男
  3. 帽子の男
  4. 走り去った男

まず(1)の「日光駅の男」というのは、本事件が発覚したその日(平成12年12月31日)、東武線日光駅着の東武電車に手を怪我した男が乗っていた、というものです。

この場合、「手に怪我をしていた」というのが何といってもポイントで、犯人は犯行を行った際、手に怪我を負い、出血によってついた両手親指の指紋が現場に残されています。

その男は、東京・浅草発の快速電車で同駅に到着後下車した乗客20人の一人で、「右手に骨が見えるほどの深い傷を負っていた」ということです。そこで、それを見かねた駅員は事務室で男の傷口を消毒し、包帯を巻いてあげたということです。

その際、駅員が怪我の理由を尋ねると、男は「電車内で包丁を落として手を切った」と説明したようですが、電車内に血痕は確認されておらず、いかにも不自然な説明です。

男は年齢が30歳ぐらいで身長は約170センチのやせ形。黒いダウンジャケットにジーンズで、白っぽいスニーカーを履き、紺色のリュックサックを背負っていたそうです。捜査本部ではこの情報を早い段階で得ていたそうですが、その当時は他にも優先させなければならない情報が多数あったため、後回しにされてしまったようです。今にして思えば、もっと早い段階で捜査をしていれば、「日光駅の男」の身元は割れていたかもしれません。

次は(2)の「ビデオの男」です。

これは、犯行発覚2日前の12月29日午後零時半頃、殺害現場となった宮澤さん宅(「マピオン地図>東京都世田谷区上祖師谷3丁目付近」)から約8キロ離れたJR吉祥寺きちじょうじ駅前のスーパーで、現場に残されていた凶器と同じ包丁「関孫六」「楽天市場>関孫六 刺身包丁」)を購入する若い男の姿が防犯ビデオに映っていた、というものです。

その男についての姿形については詳しく書かれていませんが、身長は175センチぐらいだそうです。なお、その凶器となった「関孫六」ですが、事件があった12月に世田谷とその周辺の新宿、杉並区など都内の五区二市のスーパーなどで「ビデオの男」も含め7人が買い求めていたことがわかっているそうですが、いずれもどこに住む誰なのかまではまだ判明していないということです。

続いて(3)の「帽子の男」に移りますと、犯行現場に残されたグレー地に黒いラインの入った「クラッシャーハット」と良く似た帽子を被った男が目撃されていた、という情報です。

その男は中年で、その帽子を被り、事件当日の午後7時と午後10時の2回、宮澤さん宅の脇を流れる仙川沿いの遊歩道を歩いているのを近所の住民が目撃しているそうです。いずれも同一人物かどうかはわかりませんが、10時に目撃された男は40歳前後で、身長は約170センチだったそうです。

最後(4)の「走り去った男」は、宮澤さん宅に通じる真っ暗な路地から通りに飛び出して来た男です。

目撃者は、二人の娘を乗せて車を走行中の主婦で、犯行が行われたと思われる12月30日の午後11時35分から40分頃、今も書いた宮澤さん宅へ通じる路地の暗がりから突然飛び出てきたそうです。

あまりに突然のことに驚いた主婦は、ヘッドライトをハイビーム(high beam:遠距離用の上向きのヘッドライト光線=研究社中辞典)にしたそうですが、それに対して男は驚く風も見せずに「飛ぶように」(←主婦の証言)大通り方面に走り去った、ということです。

男は25歳から35歳ぐらいで、身長は175から180センチぐらい。体格はやせ形で髪が長く、黒いジャンパーに黒いズボンという出で立ちだったそうです。

この男の目撃時間が犯行直後であったことから捜査本部は「犯人である可能性が高い」として捜査をしていますが、ただ、問題がないではありません。なぜなら、“犯人”は翌日の31日午前1時38分と事件発覚直前の午前10時頃に宮澤さん所有のPCを起動させた形跡が残されているためです。

それが事実であれば、その目撃された「走り去った男」が再び現場に戻り、PCを操作したという可能性も出てきます。

以上は、未だに事件との関わりがあるのかも含めて絞り込めていない不審者についてですが、この事件を特徴づけている犯人の不可解な行動についても記事は書いています。それではこれについても順に見ていこうと思います。

これは三つほどありますが、まずは冷蔵庫の中のものを食い漁った形跡についてです。

犯人は冷蔵庫に入っていた数個のアイスクリームを全て食べ、ペットボトルのお茶を飲んだようです。その際、アイスクリームはスプーンを使わずにむしゃぶりつくように食べ、食べ終わると容器を無造作に床に投げ捨てたようです。ここからは犯人の粗雑な性格が読みとれなくもありません

二つ目の不審な行動は、宮澤さんの仕事関係の書類や、自宅で塾を開いていた妻・泰子さんの塾関係の書類、広告チラシなどをなぜかハサミや手で引きちぎり、二階にある浴槽内に投げ込んであったことです。どうしてそんなことをしたのか、見当がつきません。

3番目は、さっきも書いたことですが、犯行後に宮澤さん所有のPCで、宮澤さんが登録してあった(「お気に入り」「ブックマーク」)サイトを閲覧していた、という“事実”(?)です。

警察の調べによりますと、犯人は最初のページを開いて閉じた、そうです。もしもそれが“事実”であるとすれば、犯人は犯行を犯した現場に10時間以上もとどまり続けたことになり、なぜ危険を冒してまでそこに居続けたのかが気になります。犯行が行われたのは寒い時期で、東京でも最低気温が5℃前後になります。当然、室内の暖房のスイッチは入れていないはずです。

以上は犯人が採った不可解な行動の一端ですが、警察が今もって解明できていないのが、「犯人はどこから宮澤さん宅へ侵入し、どこから逃げたのか?」という基本的な問題です。

当初は「二階の浴室の窓から出入りした」という見方が有力だったとのことですが、その周辺からはハッキリとした指紋や足跡が出ていないそうです。

そこで出てきた見方がある捜査幹部の次のような推理です。

「犯人は玄関から入り、一度靴を脱いでから犯行に及んだ可能性がある。床が血だらけになったので、途中で靴を履いたんだ。そうでなければ階段の足跡の説明がつかない」

ちなみにその「階段の足跡」の件ですが、宮澤さん宅の1階と2階には血の付いた足跡が多数ありながら、「なぜか階段だけからは上りの一方向の途中からしか足跡が採取されていない」という事実です。

そしてもし犯人が玄関から入ったのだとすれば、犯人は宮澤さん一家の知人では? という推理が成り立ち得ます。

以上新聞の記事から本未解決事件を見てきたわけですが、私が個人的に不思議に思うのは犯人が現場に残した遺留品の多さです。では、ここでおさらいの意味も込めて、犯人が残していった遺留品をリストアップしてみましょう。

  • 凶器の柳刃包丁「関孫六 銀寿」
  • グレーに黒い線の入った「クラッシャーハット」と呼ばれる帽子
  • 黒いジャンパー(Lサイズ、ユニクロ製)
  • 黒い手袋
  • 薄いグレー地に袖が紺色のトレーナー(Lサイズ)
  • 緑地に赤とオレンジの格子入りマフラー
  • 深緑の韓国製ヒップバッグ

なお、ヒップバッグからは、1600粒の微物が発見されているそうです。その内訳は以下の通りです。

  • 約1億4千万年前のもので国内には存在しないモナザイト。花崗岩に含まれる鉱物で、核燃料や入浴剤の原料
  • 電子部品に使われる化学物質のチタン酸バリウム
  • 金属シリコン
  • ニッケル
  • インクの汚れ防止用フィルムのガラス球(50ミクロン)

あと、これは私が読み違えていたようですが、犯人が履いてきた韓国製のスニーカー「スラセンジャー」は現場には残されておらず、その足跡が残されていた、ということのようです。

私も犯人が靴も履かずに外へ逃げ出したとは考えにくかったので、その点は不思議に思っていました。そうですよね。いくら犯人でも“裸足の王者”マラソンのアベベ選手(オリンピックの東京大会の前回大会に当たるローマ大会〔1960年〕のマラソン競技で、エチオピアのアベベ選手は裸足で走って見事な優勝を納めた)ではあるまいし、素足のまま逃走するのはヘンだ、と思っていました。

それにしても犯人は寒い時期の室内で上着のジャンパーを脱いで犯行に及んだのでしょうか。その証拠に現場にジャンパーが残され、さらに返り血を浴びたためでしょうか、犯人が着ていたトレーナーは脱ぎ捨てられ、代わりに宮澤さん所有のトレーナーを着て逃走したようです。

こうしてみますと、目撃された怪しい人物の内、最後に挙げた路地に飛び出てきて「飛ぶように」逃げ去った男の服装が犯人のソレに似通っているように思います。

ただその時点では、犯行現場からその服装で逃げてきてしまっているわけで、その人物が真犯人であれば、再び現場に戻ったことになります(犯人は上着など多数の遺留品を現場に残しているため)。

そしてなぜかその場にとどまり、翌日の発見時刻に、隣に住む泰子さんの実母の突然の“訪問”を受け、驚き慌てた犯人がスラセンジャーを慌てて履いて逃げ去った、という推理が成り立ちそうな気がしないでもありません。

ま、ド素人の勝手な推理ですから当てにされても困りますが、、、f(^_^;)

いずれにしましても、謎が謎のまま残されるのは非常に落ち着かないもので、一日でも早く事件が解決し、その謎が早く解かれることを望みたいと思うと共に、被害に遭われた宮澤さんご一家のご冥福をお祈りしたいと思います。