西川善文日本郵政社長の修羅場はこれからだ
2009年10月25日10時00分 / 提供:ゲンダイネット
●疑惑解明本格化で何が飛び出すか
まるでチンピラだった。辞任会見で報道カメラマンをにらみ、「出ていけ!」と恫喝(どうかつ)した日本郵政の西川善文社長(71)のことだ。人間はピンチの時に本性が現れるというが、あの野犬のような顔が本当の姿だったのだ。だが強気でいられるのも今のうち。今後は「かんぽの宿」問題などさまざまな“疑惑”が暴かれ、追及に怯える日が待っている。
大臣のクビを飛ばしても自分は社長のイスにしがみ続けてきた西川。辞任理由について、政府方針との「隔たり」と説明していたが、「追い詰められて放り投げた」のが本音のようだ。
「政府が郵政民営化見直しの基本方針を閣議決定したことで、28日の取締役会でクビが飛ぶのは確実だった。不祥事で辞める社長はゴロゴロいるが、『解任』される社長はそうはいない。歴史に汚点を残すくらいなら、辞めてしまえ、というのが正直な気持ちでしょう」(民主党関係者)
だが社長を辞任しても、郵政問題は終わらない。日本郵政をめぐる疑惑に詳しい経済ジャーナリストの町田徹氏がこう言う。
「今後は原口総務相の指揮下で『郵政疑惑解明チーム』がつくられることになるでしょう。かんぽの宿問題はもちろん、三井住友カードとの提携や、博報堂と結んだ広告・宣伝の一括発注、日本通運や文具のカウネットとの業務提携など、かんぽ問題と同様に“出来レース”が疑われる案件が焦点になる。仮に何らかの損害が明らかになれば、旧経営陣が損害賠償を求められる可能性は高い」
西川に対しては、すでに民主党や国民新党、社民党所属の国会議員有志が5月、「かんぽの宿」などの施設を不当に安い価格で売却して会社に損害を与える恐れがあったとして、特別背任未遂などの容疑で東京地検に告発し、受理されている。これまでは後ろ盾に自民党がいたからノホホンとできたが、政権交代が起きた今後は、そうはいかない。前衆院議員の保坂展人氏はこう言う。
「西川氏がこれまでかたくなに社長を辞めなかったのは、『かんぽの宿問題』などの疑惑にフタをする役目だったからではないか、とみています。西川社長が辞任し、(側近の)『チーム西川』が散り散りになった今、まずは残っている資料をきちんと調べ、問題の経緯を明らかにするべきです」
西川の修羅場はこれから始まるのだ。
(日刊ゲンダイ2009年10月22日掲載)
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