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【経済】

岐阜の中小企業に白羽の矢 中国のメッキ工業団地計画

2009年10月24日 朝刊

大連市のメッキ工業団地の造成地で、中国の関係者(左)と打ち合わせをする豊実精工の今泉社長(右)ら=同社提供

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 中国・大連市は市内で初めてのメッキ工業団地計画の推進役に、岐阜県富加町のメッキ会社、豊実(ほうじつ)精工を選んだ。中国ではメッキ工場の排水汚染が深刻化しており、高度な排水処理技術などが評価され、白羽の矢が立ったという。工業団地のような大型プロジェクトを日本の中小企業が担うのは異例だ。

 豊実精工はメッキ業界中堅で、超薄膜のメッキ加工が得意。ソニーや日本精工など、大企業との取引も多い。2009年3月期の連結売上高は約22億円。4年前に大連に進出した。

 大連にはインテル、現代電子などが進出を決めていて、今後、メッキ需要も右肩上がりで伸びる見通し。

 今泉由紀雄社長(53)は「中国は環境問題に本腰を入れ始めており、われわれのような規模の企業にもビジネスチャンスが与えられた。期待に応えられるよう事業を成功させたい」と意気込んでいる。

 造成中のメッキ工業団地は、広さ約55万平方メートル。来年3月の完成を目指し、大連市が約80億円を投じて計画を進めている。

 大連は中国東北部の中核的な工業都市で、現在、約90のメッキ会社があるが、「大半は設備が古く、排水も環境基準をクリアしていない」(今泉社長)。こうした課題を解決するため、市はメッキ会社を団地内の新しい工場棟に入居させ、排水を集中処理する計画を策定した。

 企画案の事前審査で「メッキ加工のインフラ整備こそが、外資誘致に直結すると熱弁を振るった」(今泉社長)ことが評価され、団地の基本設計をする業者の選定から、完成後の排水処理設備の運営までを任されることになった。2月に現地の食品加工メーカーと共同で管理会社「大連J−ECO」を設立。準備を進めている。

 日本企業の中国での活動に詳しい東海日中貿易センター(名古屋市)の大野大介事務局次長は「住友商事などの大手商社が中国で工業団地の運営に乗り出すケースはあったが、中堅のメーカーは珍しい」と話す。

 (瀬戸勝之)

 

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