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働くナビ:外国人研修制度の問題点は。

 ◆外国人研修制度の問題点は。

 ◇低賃金・長時間労働、パスポート取り上げ、強制貯金…不払い、過労死の温床 制度変更、1年目から労基法適用へ

 日本、中国、韓国の労働組合や市民グループ、弁護士が参加し、日本の外国人研修制度(研修・技能実習制度)について考えるシンポジウムが東京都内で開かれた。同制度には、研修名目で低賃金、長時間労働を強制しているなどと強い批判も出ている。経済のグローバル化に伴い、国境を越えた労働者の移動が広がる中、制度の問題点を考えた。

 同制度は、主に開発途上国の労働者による日本の技能、技術習得を支援する制度として81年に創設された。1年間を研修期間、2年間を実習期間として最大3年の滞在が可能で、09年には国内に約10万人いる。

 ところが、実習の2年間は労働者として扱われるが、研修の1年間は労働基準法が適用される労働者として扱われない。そのため、残業を強いられるなど実質的に労働をしているにもかかわらず、月3万~4万円の低賃金で休日も満足にないまま働かされるなどの問題点が指摘されていた。政府はこうした指摘を受け、来年から研修制度を廃止し、1年目から労働者として扱われる実習生に変更する。

 今回のシンポはこうした状況を受け、主に研修生を送り出している中国と、研修制度の問題点を考慮して制度を廃止した韓国の関係者が参加し、日本の制度の現状を議論した。

 指宿昭一弁護士は、賃金不払いや人権侵害などで訴訟や労働審判が約30件起きており、問題のある制度だと報告した。さらに、昨年34人の研修・実習生が亡くなり、うち16人が過労死とされる脳・心疾患だとし、「海外から研修に来るような健康な若者が、たった3年のうちに亡くなるのは異常。実際、過労死ラインの倍の月200時間を超える残業も珍しくなく、明らかに過労死」と主張した。過去に過労死の労災を申請したのは、同弁護士による1件しかなく、「出身国と連携して補償を申請できる体制を作ることが重要だ」と話した。

 中国側からは、パスポートの取り上げや強制貯金、セクハラなど受け入れ側の人権侵害とともに、中国側の送り出し機関が労働条件や待遇を明示しなかったり、日本側の機関と結託して不当な搾取を行っていることなどが報告された。中国人民大学の常凱教授は「研修とは名ばかりだ。欧州が外国人労働者に共通の法を整備したように、国際問題と認識して多国間の法的な協力体制を作り、労働者を保護する必要がある」と法整備を訴えた。

 また、日本と同様の制度を廃止した韓国のチョン・ジンフン弁護士は「韓国政府は、研修という名の奴隷制度を維持すると国際的な非難を浴びることになるので、国の利益にならないと判断した」と、日本と同じ問題を抱えた韓国が、廃止に至った経緯を説明した。

 シンポでは、日本の制度変更もテーマになったが、「一歩前進だが、これまでも労働者として扱われている2年目、3年目にも人権侵害や不払いは多発しているのだから解決にはならない」との批判が出て、抜本的な制度改正を求める意見が続出した。外国人研修生権利ネットワークの大脇雅子共同代表は「国際的連携で新しいステージを開き、国境を越えたルール作りが必要だ」と語った。

 シンポは、少子高齢化が進行し、近い将来労働力不足に直面することが見込まれる日本では、移民労働者の受け入れ問題を真剣に検討すべき時期が来ていることをうかがわせた。【東海林智】

毎日新聞 2009年10月26日 東京朝刊

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