医薬品ネット販売に抜け道、海外から個人輸入
医薬品などをインターネットで販売するEコマースサイトを運営するケンコーコム株式会社(後藤玄利代表取締役)は10月26日、東京都内で記者会見を開き、シンガポールに子会社を設立し、海外向けに医薬品のネット販売を展開すると発表した。新会社では第一類、第二類医薬品などを取り扱うが、これらのネット販売を原則禁止している日本国内でもネットで「個人輸入」できるため、議論を呼びそうだ。
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会見で後藤氏は、海外への事業展開のために新会社を国外に設立した理由について、「日本の法規制が著しく閉鎖的で、世界に出て行くに当たって日本だけを拠点にしていくと、非常に大きなハンディキャップになってしまう」と述べた。新会社は同日からサービスを開始。まず日本国内を対象に販売して、海外拠点での物流や決済などを滞りなく行うベースを築いた後、年内に海外在住の日本人向けに、来年ごろにはアジア全域に向けたサービスの開始を目指すとしている。
■改正省令には抵触せず
日本国内では、今年6月1日に施行された改正薬事法で、医薬品は副作用などのリスクの大きさに応じて第一類から第三類に分類され、厚生労働省令の改正で第三類医薬品以外のネット販売は原則、禁止されている。しかし、今回設立された新会社のサイトから個人輸入という形で、第一類、第二類医薬品を購入することが可能となる。
後藤氏は「あくまでもシンガポールの現地法人の行うビジネスの問題」と主張するとともに、「こういったビジネスが可能かどうか、厚労省に確認を取り、日本の薬事法的には問題ないと聞いている」と強調した。
現在、同社のサイトには「医薬品をお探しなら、ケンコーコムシンガポールへ。日本の一般用医薬品などを個人輸入することができます。第1類、第2類医薬品はもちろん、漢方薬、風邪薬、妊娠検査薬、排卵日検査薬、育毛剤なども購入できます」との文言を掲げた広告が掲載され、新会社のサイトへ誘導する仕組みが取られている。
旧厚生省は1998年の「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」と題した通知の中で、「顧客を誘引する意図が明確であること」「特定医薬品等の商品名が明らかにされていること」「一般人が認知できる状態であること」の3要素を満たすものを薬事法上の広告とみなすとしている。このため、厚労省の担当者は「商品名の記載がないことから、違法とは言えない」としながらも、「望ましい形ではない」と話している。
更新:2009/10/26 19:38 キャリアブレイン
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