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【社会】

川越まつり “水増し”やめた 117万人から75万人

2009年10月26日 夕刊

人出の発表数が大幅に減った今年の「川越まつり」=埼玉県川越市で

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 埼玉県川越市で今月十七、十八両日に開催された国指定重要無形民俗文化財「川越まつり」で、市は二日間の人出が昨年比四十二万人減の七十五万人だったと発表した。本来なら九月末まで放送されたNHKの朝の連続テレビ小説「つばさ」効果で人出が増えてもおかしくない状況。実は昨年まで人出を重複して数える“水増し状態”だったため、数え方を変更したといい、市は「今年の数字が実態」と恐縮している。

  (さいたま支局・石井友恵)

 市観光課によると、まつりの人出は、一九九八年は四十万人だったが、ほぼ右肩上がりで増え続け、二〇〇六年に初めて百万人を突破。昨年は記録が残る一九七九年以来で最多となる百十七万人で、一日当たり五十八万五千人。全国ブランドを誇る京都・祇園祭での昨年の約二十六万人(主要四日間の一日平均)の倍以上で、「会場の広さに比べ、人数が多すぎる」「数字の根拠があいまい」と批判が起きた。

 市は二〇〇六年まで人出を前年との見た目で比較する“勘”ではじき出していたが、〇七年からカウント方式を導入。主要交差点八カ所で一カ所につき四方向で通過する人数を数えたうえ、重複する人がいるとして、65%を掛けていた。ただこの65%にも根拠がなく、〇八年は交差点を四カ所に減らす一方、65%を掛けるのはやめた。

 しかし相次ぐ批判に、今年は交差点を行ったり来たりする人の重複を避けることを最重視。まつりのメーン会場の交差点四カ所で、会場内に入る二もしくは三方向のみ数えることで、正確な人出の把握に努めたという。

 同課は「昨年までの人出発表数が多すぎた」と認め「つばさ効果もあり、観光客が減る要因はなかった。実態でみれば、昨年並みか昨年より増えたのでは」と打ち明けた。

 ちなみに「つばさ」の平均視聴率(関東地区、ビデオリサーチ調べ)は13・8%で、統計のある一九六四年以降で過去最低。今までの“水増し”を埋める効果はなかった?

 

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