全国で同時に探せば「宇宙人」が見つかるかも――。地球外の知的生命体が出す電波や光を、全国の天文台や大学など計29カ所で同じ時間帯に調査する実験が11月11、12日に実施される。多くの地点で同時に観測すれば、同じ電波を複数のデータで検証できるため、より確実にチェックできる。参加者らは「これだけ多くの同時観測は世界初では」と期待している。
西はりま天文台(兵庫県佐用町)で地球外知的生命の探索を続けている鳴沢真也・主任研究員の呼び掛けに、北海道から鹿児島まで、アマチュア天文家も含め計29の団体・個人が賛同。西はりま天文台、東海大宇宙情報センター(熊本県)、山口大など8カ所がパラボラアンテナなどで電波を観測し、仙台市天文台、富山市天文台、和歌山大など23カ所ではビデオなどで撮影する。
観測は11月11、12日の午後9時から5時間。89年に米国・ハーバード大が怪しい電波をとらえたカシオペア座の方向をターゲットにアンテナや望遠鏡を向ける。14日に西はりま天文台で報告会を開く。
「正体不明」の電波は、これまで何度か観測されている。国内でも05年に国立天文台水沢観測所(岩手県奥州市)で瞬間的に強い電波が受信された。だが、短い時間で1回きりだったため、データが少なく本物かどうか検証できなかった。鳴沢さんは「将来は世界中の国が連携して観測する実験をやってみたい」と話す。(田之畑仁)