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【社会】

酒井被告の“復帰”に注目 『引退が美学』『金返すのも責任』

2009年10月26日 夕刊

酒井法子被告の初公判で、傍聴券を求め東京・日比谷公園に集まった人たち=26日午前10時34分

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 清純派女優から刑事被告人へ−。二十六日に覚せい剤取締法違反事件の初公判を迎えた酒井法子被告(38)。同被告は取り調べ段階で容疑を認めており、公判そのものは即日結審する見通しだ。注目は早くも“その後”に移る。過去の薬物事件では多くの俳優やミュージシャンが復帰を果たしてきた芸能界。酒井被告の芸能界復帰はあるのか。識者の反応もさまざまだ。 

 「甘えの構造や特権意識に守られた芸能界に簡単に戻れば、また繰り返される恐れがある。世の中への謝罪、反省を考えれば、引退することが美学だ」。芸能リポーターの梨元勝さんは厳しい。

 保釈直後の会見で身なりを整え、元所属事務所の関係者が同席。コメントを一方的に読み上げる姿に「一気に女優に戻ってしまった」と梨元さん。「スターとして扱われるなら責任の取り方を見せるべきだ。それが彼女に残された最後のエンターテインメントだ」

 一方、「借金がなければ『閉居しておれ』と言うのだが」と話すのは漫画家やくみつるさん。CMの違約金などで、多額の負債を抱えるともいわれる酒井被告。「金を返すのも道義的責任。復帰せざるを得ないし、拾うところはあるだろう」と冷めた目で見る。

 「薬物のない世界のための財団日本支部」の南孝次代表世話役は「薬物の怖さは、細胞に薬物が蓄積され、体をむしばむとともに幻覚などの異常体験を思い起こし性格や行動が普通でなくなること。解放感を求め異常行動から逃れようと何度も薬物に戻ってしまう」と指摘。「本当の社会復帰とは薬物のない人生を決断し、体内の薬物を除去すること。次に薬物に手を出した原因を見つけ問題を解決する。最後に薬物防止などの社会貢献活動を行う。周りの支援も必要」としている。

傍聴希望2位 「角栄」超える

 酒井法子被告の初公判に、東京地裁では歴代二位となる六千六百十五人の傍聴希望者がリストバンド型の整理券を求め、日比谷公園に集まった。

 東京地裁の刑事裁判で傍聴希望者の過去最多は、一九九六年四月二十四日に開かれたオウム真理教の麻原彰晃死刑囚(54)=本名・松本智津夫=の初公判。一般傍聴席(四十八席)に対し約二百五十六倍の一万二千二百九十二人だった。

 翌日の松本死刑囚の第二回公判(五千八百五十六人)、二〇〇四年二月の判決公判(四千六百五十八人)がそれぞれ歴代二位、三位だった。続いて、九五年十月の元オウム真理教幹部中川智正被告(47)=上告中=の初公判(四千百五十八人)、八三年十月の故田中角栄元首相の判決公判(三千九百四人)の順。

 芸能人関係で最多は今月二十三日の押尾学被告(31)の初公判で二千二百三十二人。

 二十一日の酒井被告の夫高相被告の初公判は千五百五十七人だった。

 

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