2009年10月02日
アイデアよもやま話 No.1319 温室効果ガスにはCO2以外にも・・・
9月11日(金)放送のワールドビジネスサテライト (テレビ東京)で「新たな脅威 もう一つの温暖化とは!?」をテーマに取り上げていましたのでご紹介します。

温室効果ガスにはCO2を含めて以下の5つがあります。 (出典:京都議定書)
1.CO2
2.メタン
3.亜酸化窒素 (N2O)
4.ハイドロフルオロカーボン類 (HFCs)
5.パーフルオロカーボン類 (PFCs)
6.六フッ化硫黄 (SF6)

また、世界の各温室効果ガスの割合は以下のとおりです。 (出典:IPCC)
CO2           63%
メタン           18%
代替フロン含むその他 13% (上記の4,5,6) CO2の約2000倍の温室効果
亜酸化窒素       6%             CO2の約300倍の温室効果

日本では、温室効果ガス、というとCO2に焦点が当たっています。
でも、世界的にみれば全体の約6割に過ぎないのです。

さて、代替フロンについての補足です。
エアコン業界では、エアコンの代替フロンとして使われるHFCの量を9月14日以降順次CO2に換算して表示することになりました。
代替フロンは封入されて使われるので適切な回収をすれば放出を防げることが出来るので、メーカーとしてお知らせすることが大事だという判断です。
ちなみに、冷媒用代替フロンはCO2の約2000倍の温室効果があるのです。
ルームエアコン1台をCO2換算すると、プリウスで毎日50kmを1年走った場合のCO2排出量に匹敵するそうです。
その多くが移す際の漏れや違法な廃棄などで放出される、といい2020年には4000万トン近くにまで達する、と予測されています。
そして、代替フロンは日本の温室効果ガス排出量のうち4〜5%を占める可能性がある、と言われています。

次に亜酸化窒素です。
アメリカ政府機関の研究チームは、亜酸化窒素は21世紀最大のオゾン層破壊物質になる、と警告しています。
亜酸化窒素は、消滅までに約100年かかることがその理由です。
更に、その温室効果はCO2の約300倍、と言われています。
生に近い家畜の糞を発酵させて堆肥に近い状態になった時に亜酸化窒素が発生するのです。

日本の亜酸化窒素の排出量(2007年度)は以下のとおりです。
農業     47%
燃料の消費 31%
廃棄物    17%

現在、亜酸化窒素の発生を抑えるための研究が進められています。
それは、亜酸化窒素の発生を抑える微生物が数多く含まれる熟成堆肥です。
実験では、亜酸化窒素の発生を約60%低減出来た、とのことです。
今後は、実際の農地での実証実験を行い、問題点をクリアしたうえで全国的な普及を目指しています。

民主党政権は、温暖化ガスの削減目標として2020年に25%削減(1990年比)を掲げています。
しかしながら、具体的な対策は制度全体を議論する中でこれから決めていくようです。

工業化が進んでいる日本では、温室効果ガス排出量のうちCO2が9割以上を占めています。
ですから、それ以外の温室効果ガスについてはほとんど話し合われていないようです。
ですが、専門家はCO2以外のガスの温室効果は高く、無視できないものであり世界的に削減しなくてはならない、と強調しています。

国立環境研究所の野尻幸広副センター長は番組の中で次のようにおっしゃっていました。
「CO2以外の温室効果ガスの対策の方がかけたコストに対する効果がかなり大きいです。」
「ですから、非CO2の削減は世界的に重要です。」

ということで、是非民主党政権には、地球温暖化対策先進国としてCO2に限定することなく、温室効果ガス全体の見地から具体的な削減対策を検討していただきたいと思います。

 
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