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漁船不明:船長「走るのに難儀」 台風で捜索一時中断

不明漁船の捜索状況等について話す藤井多喜男・伊豆漁協下田支所組合長(右)。左は「第一幸福丸」が所属する佐賀県鎮西町漁協の冨田賢作業務課長=静岡県下田市で2009年10月26日午前8時10分、武市公孝撮影
不明漁船の捜索状況等について話す藤井多喜男・伊豆漁協下田支所組合長(右)。左は「第一幸福丸」が所属する佐賀県鎮西町漁協の冨田賢作業務課長=静岡県下田市で2009年10月26日午前8時10分、武市公孝撮影

 伊豆諸島・八丈島沖で連絡が途絶えたキンメダイ漁船「第1幸福丸」(8人乗り、19トン)の牧山新吾船長(40)が24日午後6時24分から約30分間、船舶電話で大阪府の友人に「走るのに難儀している」などと話していたことが分かった。これまでは24日午後4時ごろの無線交信が最後のやりとりとみられていたが、下田港(静岡県下田市)に帰港途中の同日夜に何らかの事故に遭ったとみられる。第3管区海上保安本部(横浜市)は台風20号接近に伴う荒天のため26日午前11時半、捜索を一時中断した。手がかりは得られていない。

 26日に記者会見した伊豆漁協下田支所(下田市)の藤井多喜男組合長(56)によると、牧山船長は船舶電話で「海がしけている。走るのに難儀している」と話していたという。藤井組合長は「『漁から戻ったら酒を飲もう』という約束もあったという。その時は緊迫した状況ではなかったはずだ」との見方を示した。

 24日午後4時ごろに幸福丸と無線交信した僚船の「第1ふじ丸」の阿部圭男船長(53)は取材に「普通は食料を10日分ぐらい積むから漂流してもある程度は大丈夫だ。だが、エンジンが動かないと、しけの中で船の姿勢を保つのは難しい」と表情を曇らせた。

 牧山船長の伯父と弟、甲板員の早川雅雄さん(38)の義父は26日午前、幸福丸が拠点にしていた下田港に到着。藤井組合長によると、乗組員の親族3人は「情報が少なく、どうなっているのか心配だ」などと話し、不安を募らせているという。幸福丸が所属する鎮西町漁協(佐賀県唐津市)の冨田賢作業務課長も駆け付け、「天候悪化もあり、一刻も早く安否を確認したい。何とか命だけは助かってほしい」と話した。【竹地広憲、平林由梨、中島和哉】

毎日新聞 2009年10月26日 11時16分(最終更新 10月26日 13時40分)

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