英国でガラス固化体に処理した高レベル放射性廃棄物を六ケ所村に返還するため、日本原燃と原燃輸送は20日、原子力安全基盤機構(東京都)に核燃料物質等運搬物の確認申請をした。仏国で処理した固化体の返還は終了しており、英国からの返還は初めてとなる。
固化体は、使用済み核燃料の再処理で出た高レベル放射性廃棄物をガラスで閉じ込めたもので、国内の電力会社が英仏に再処理を委託している。
申請書によると、英国からの初めの返還期間となる今年12月~10年3月は、固化体28本(1本当たり約500キロ)。英国・セラフィールド社の再処理工場から六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場に運搬する。「核物質防護」の観点から輸送日時やルート、船名などは現時点で公表されない。
仏国から固化体が返還されたのは07年3月までに計12回(1310本)に上る。08年度以降は、英国の準備が整うまで返還がストップしていた。英国からの返還は13回目以降となり、約10年かけて計850本を搬入する予定。
日本原燃は、固化体を一時貯蔵する廃棄物管理施設の最大管理本数を1440本から2倍の2880本に増設する計画で、今年7月末、完成時期を11月から10年10月に延期する計画変更届を経済産業省に提出している。
国は02年末から、固化体を地下300メートル以上ある地中の施設に埋設する最終処分地を公募しているが決まっていない。施設の広さは約10平方キロで、人体への影響期間は数十万年とも100万年ともいわれている。県は国から「青森県を最終処分地にしない」という確約を得たが、政権交代したため再確認する必要性に迫られている。【矢澤秀範】
毎日新聞 2009年10月21日 地方版