5回表1死一塁、代打井上が一塁失策で出塁。現役最後の打席で意地を見せた=東京ドームで
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今季限りで現役を引退する中日・井上一樹外野手(38)が来季、中日の育成コーチとして第2の野球人生をスタートさせることが24日分かった。現役20年の経験と知識を若手に伝える。また西武やロッテで長打力のある外野手として活躍した垣内哲也氏(39)も育成コーチとして落合竜のスタッフ入りする。
最後の打席は一塁ゴロに終わった。5回1死一塁。だが井上の執念が、この打球の処理を亀井に誤らせエラー。井端、荒木の連打も呼んで、巨人ベンチを慌てさせた。
しかし最後まで追いつくことはなかった。「日本シリーズまで行きたかったけど、幸せなかたちだった。というのは引退発表をしてからゲームができたんだから」。引退を表明したのが9月25日。それからの1カ月間は非常に中味の濃いものだったに違いない。試合後、帰りのバスへ向かうと外は雨。「物語ってるものが、なんかあるなあ。雨の日はよく打ったような気がする」とたっぷり感傷に浸った。
これで現役としてユニホームを着ることはなくなった。「背番号『9』じゃなくなるのに、いつまでもつけているのは変だから」と、愛車の鍵などにぶらさげている数字の「9」をかたどったアクセサリー類も、全部外すときがきた。だが道は続く。今度は後進の指導だ。
投手として入団し、5年目に野手転向。努力で主力選手への道をはい上がった井上の20年間を球団も高く評価。渡辺コーチや、外部からスタッフ入りする垣内氏とともに、強化を目指す育成部門を担当することになる。
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