数学の実力を問う「実用数学技能検定」を実施する財団法人「日本数学検定協会」(本部・東京都葛飾区)が08年、高田大進吉(たしよし)理事長(64)と副理事長の長男に払っていた年間約3300万円の商標使用料について、文部科学省が今年6月、「財団は赤字なのに高すぎる」として引き下げを指導していたことが23日分かった。
財団は99年設立。子どもから大人まで、数学の技能を問う検定を実施し、08年は計約33万9千人が受検した。同年、財団には約7億9千万円の検定収入を含めた約8億2千万円の収入があった。
文科省は、「日本漢字能力検定協会」問題をきっかけに所管法人への指導を強化。今年3月、財団の調査に入った。
この結果、財団が08年、高田理事長が個人で登録する「数検」「児童数検」などの商標使用料として3100万円を、副理事長にも別の商標使用料として200万円を払っていたことが判明。さらに04年の公益法人会計基準の改正で、役員への支出内容を記載することが定められたのに、財団は支出先が理事長親子であることなどを決算書類に記載していなかった。
文科省は6月、08年決算で財団が約4千万円の赤字だったのに、「資産と収支を考えると多額だ」と指摘。文科省生涯学習推進課は「現在、財団から改善状況の途中経過の報告を受けている。理事長に支払う商標料は引き下げる方針と聞いている」と話した。